働き方

会社の不合理を追求すれば、働き方改革は一気に加速する

投稿日:2017年9月22日 / by

弾力化する職場と雇用のカタチVol8

イ―ライフ【後編】

同社の約1000人のSOHOスタッフは、諸事情で会社を辞めた人やフルタイムが困難な人、地方や海外が拠点の人など多種多様。結果優先で、時間や働く場所を問わないため、事情はあるがスキルが高い人材にとってはユートピアのような職場とあって、売り手市場などどこ吹く風で優秀人材が集っている。

→前編:“働き方改革”のずっと以前から機能してきた先鋭的な職場の合理性

パートナーは全国に点在するが、助け合う風土はあると話す折笠氏

「もともと創業者が欧米志向といいますが、古い考え方に捉われない人で、結果さえ出せば、時間も場所も関係ないという考えなのでこうしたスタイルが実現している側面が大きいと思います。弊社ではとにかく、働く側が一番力を発揮できる働き方が最優先。だから、結果を出すということ以外は基本、ルールはありません」と折笠氏は明かす。

個々のスタッフをプロとして認識するからこその、結果最優先主義。どこまでも自由な方針は、うらやましいほどだ。例えば、通勤。在宅勤務もオフィス勤務もどちらも可能だが、朝に急きょ出社を止めようと思えば、共通のカレンダーツールにその旨を記すだけでOK。週に一度会合があるが、それも出社してもしなくてもいいというルーズさ。もちろん、個々のメンバーのやり取りはチャットツールなどを活用し、しっかり行なっているが、決して押し付けではない。必要に応じ、各自が都合に合わせ、活用するまでだ。

ユニークなのは、共有カレンダーへの記載内容。なんとスタッフのプライベートの予定も記載されている。ダンススクールや英会話スクールなどの予定があれば、包み隠さずしっかり記す。「そうすることで、プライベートを邪魔しないでコミュニケーションができるから」(折笠氏)とその合理性は徹底されている。

改めていうが、このスタイルが実践されているのは2000年から。ようやく働き方改革が浸透しつつある2017年でもかなり先鋭的といえる働き方が、トレンドとは無関係にトップの意向とシンクロしながら自然に生まれ定着している事実は、固定観念に縛られることが改革の最大の抵抗勢力であることを嫌でも明白にする。

業務をしっかりこなせば、事実上制約ゼロ

スタッフは、入社時点でビジョンに共鳴しているとはいえ、その勤労意欲は雇用形態に関わらず高く、定着率も高い。仮に離職となっても、こうした形態だけに、離職原因が解消されればUターンも問題なくできる。まさに弾力化した職場のひとつの理想形といえるワークスタイルが、同社には当たり前のように浸透し、しっかりと機能している。

こうしたワークスタイルで負の側面を挙げるなら、コミュニケーション不全が懸念されがちだ。だが、同社では定期的なカウンセリングで予防線を張り、さりげなくチェック。さらにメンバー同士による異変などを報告する文化も自ずと醸成されており、むしろ同じ空間で仕事をしている企業より健全で円滑とさえいえる印象だ。

昨今の職場弾力化の動きは、ともすれば変化に対応する生き残りのための側面が強い。だが一方で、同社が17年も前から実践し、企業としてしっかりと結果を出していることを考えれば、実は職場弾力化は、職種にもよるかもしれないが、働き方のひとつのカタチとしてもともと有効なスタイルだったといえるのかもしれない。そうだとすればなおさら、企業は過去の成功体験を捨て、どうすれば会社が、組織が、機能するのかを逆算し、組織を組み立てることがいかに重要かとういうことだ。逆説的だが、働き方改革に苦慮する企業は、その根底に過去の成功体験をどこかにひきずっているということを疑う必要があるのかもしれない…。<続く>

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