働き方

隠れブラック企業を見極める4つのチェックポイント

投稿日:2017年3月14日 / by

見落としがちな“グレー企業”の危ない兆候

長時間労働是正の声の高まりとともにブラック企業が影を潜めている。だが、実態は改善に見せかけた名ばかり制度の導入や一部に負を押し付けるなどの張りぼてホワイト化でごまかしているに過ぎない。ブラック企業の本質は、経営の体質の腐敗。そこにメスが入らなければ、「話しが違う…」の被害者は後を絶たない…。隠れブラック企業への入社を回避するための4つのチェックポイントを指摘する。

1:5年以上ビジネスモデルが不変だ

見落とされがちなポイントだが、企業がこうした状態にある場合、隠れブラックの可能性が高い。業種にもよるが、これだけ技術革新のスピードが速い時代に、5年以上、マイナーチェンジさえなく同じビジネスモデルで経営しているとなれば、柔軟性の欠落が疑われる。変化に対応するどころか、スタイルに固執するようでは、働き方変革の時代で生き残ることは極めて困難。売り上げ自体は順調だとしても、一寸先は闇。ブラック予備軍として、警戒しておいて損はない。

2:採用力が弱い

育休制度、残業わずか、高い有休取得率…。働き方変革が求められる時代に沿った、優良企業にみえる充実の制度。ところが、採用となると、なかなかいい人材を採れない。せっかく採れてもすぐに離職される…。見た目は悪くないのに一体なぜ? これが隠れブラック企業の典型的な症状だ。根っこの部分にブラック体質がはびこっており、どんなに制度でお化粧をしても本質がむき出しになる。荒れた肌に化粧しても、のりが悪いのと同じ理屈だ。見分けるのは困難だが、口コミ情報が有効な場合が多い。

3:業績が悪化している

かつてなら、業績の下落は人員不足や資金不足が主因で、そこさえカバーできれば盛り返せた。ところが、人口減少フェーズでは、業績悪化は人材の離脱を招き、人材の離脱が企業体力を弱め、業績が悪化するという負のスパイラルに陥る。業績の悪化は、比例して労働環境悪化を招き、職場をブラック化。状況はアリ地獄のように悪化する…。業種やビジネスモデルを見極める必要はあるが、業績の悪さは、隠れブラックを見極める指標として重視しておくべき要素であることは間違いない。

4:出産理由の退職率が高い

女性活躍推進法が施行され、女性社員に居心地のいい職場つくりに注力する企業が増大している。ところが、企業側の努力とは裏腹に、制度がうまく機能する事例はまだ少数派。多くの場合、制度はあっても「つかいづらい…」というのが実状だ。そうした空気は、「帰りづらいと」とも確実にリンクする。つまり、口では女性活躍を推奨しても、現実には、そうしたことに対し、冷たい視線があるのだ。平常時は問題なくとも、こうしたフラストレーションはいずれ爆発する。それが、出産の場合に頻発するなら、隠れブラックである率は極めて高い。出産→離職は、「あばよ」という言葉を飲み込んだ、無言のメッセージだ。

ホワイト企業の特長

上記4つは、新卒にせよ転職にせよ、注意深くチェックしよう。入ってから気づいて離職するのもいいが、嫌な思いはできるだけ避けたいものだ。どうせ入るなら、ホワイト企業で気持ちよく働くのが、ビジネスパーソンにとってハッピーに決まっている。2017年3月14日のホワイトデーに行われた「第2回ホワイト企業アワード」の受賞企業は、見事にこれらのチェックポイントの真逆をいっている。同賞を主催した(財)日本次世代企業普及機構の江本亮事務局長は、今回の受賞企業の特長を次のように解説する。

「受賞企業に共通するのは、業績がよく安心して働ける会社ということ。職場改善が直接利益につながらないという声もあるがとんでもない。誰もが入社したいだろうと思う企業ばかりだ。明らかなメリットは2つ。採用力が上がる。もうひとつは従業員の定着率が上がる」。

ホワイト企業の定義にはいくつかあるが、社員が安心して働ける会社であることは、確実に求められる要素。そうなれば、そこで働く従業員はスキルを最大限に発揮し、モチベーションも高まる。どうすれば、働く人が存分に仕事に取り組めるか。そこを起点に考えることが、ホワイト企業の発想。逆にいえば、いかに売り上げを高めるか、着想するのが、ブラック企業の発想ということだ。

ブラック体質は根本を直さないと効果なし

同イベントに登壇した船井総研上席コンサルタントの川原慎也氏は、「中小企業で働き方改革が進まない本当の理由」のテーマで講演。「根本原因を改善せず、部分改善に終始することに尽きる」と明言した。体質を変えずに制度だけで“武装”する企業が、機能不全に陥ることそのものだ。1年で男性社員の育休取得率6倍強を達成したイクメン支援部門受賞のアートネイチャーの人事担当は、制度を取得前提とし、取りやすさ重視に転換したことが大きな効果につながったと明かした。

働き方が変革の過渡期なるいま、良くも悪くもグレーゾーンにいる企業は着実に存在する。結果的にホワイト転換できればいいが、体質改善はそれほど簡単なものでもない。企業側からの情報開示だけでは、求職者はどうしても不利になる。だからこそせめて、ブラック予備軍や隠れブラックに引っかからないために、見分けるポイントは頭に入れておいた方がいい。

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