
お金のないフリーランスこそ、仕事を外注に出さなくては
<変人・安田の境目コラム>
有能な人に仕事をやってもらう有難さは、つくづく、身に染みてわかっています
社員がたくさんいた頃、私は人に手伝ってもらうことに慣れきっていました。
アイデアが閃いたら、それをベースに DMを作ってもらう。シナリオだけ渡して講演用のパワポを作ってもらう。考える仕事は自分がやるので、それを形にする作業は頼んでもいいだろう。社長は社長にしかできない仕事があるのだ。などと考えていたのです。
当時のアシスタントはみんな有能で、今から思えば私はすごく楽な仕事をしていました。足りない部分のコピーを書いてもらうとか。デザインやイラストを工夫してもらうとか。それが当たり前だと思っていたのです。
社員がひとりもいなくなり、ぜんぶ自分でやらないといけなくなって、人に頼めることの有り難さが身に染みました。今では細かいコピーまで自分で書き、パワポの拙いデザインも自分でやります。
フリーは当然お金に余裕はありません。自分でできることは極力自分でやる。とはいえ何から何まで自分ではできません。クオリティも下がるし生産性も悪い。だから身銭を切って外注するのです。
「お金がないから、外注に出さずに自分でやる」が、そもそもの間違い
一般的にフリーランスはあまり外注を使いません。お金に余裕がないからです。
でもそれは間違い。フリーの人ほど外注を使い得意なことに集中するべきです。外注をうまく使うことで収入が増え、更に外注を使えるようになるのです。
ここで重要なのは外注の質と価格です。もし頼む理由が価格なら、その外注は考え直したほうがいい。自分でやるのは面倒だ。外注してもたかが料金は知れている。安いからという理由で外注すると後々とても面倒なことになります。安かろう悪かろうが現実なのです。
反対に外注しない理由が料金なら、その仕事は外注したほうがいい。質の高い仕事は料金も高い。これは仕方のないことなのです。高いから自分でやろうとすると、これまたろくな結果にはなりません。高い仕事ほど外注を使うべきなのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。