働き方

パラレルキャリアはポスト終身雇用になり得るのか

投稿日:2016年8月31日 / by

<パラレルキャリアは本当に新しい働き方の本命なのか>

なぜパラレルキャリアは拡大しているのか

パラレルキャリアが今後、どんどん社会に浸透していくことは間違いないだろう。社会構造が変わり、ビジネスパーソンのマインドが変わっているのだから、もはや必然の流れだ。もちろん、ずっと一つの企業で働き続けたい人も一定数存在するだろう。だが、企業自体が、社員を抱え続けられるほど寿命が続くのかという厳しい現実がある。

pararrelcareer

さまざまな要素が絡み合い、増大が確実なパラレルワークという働き方。特に押えておくべきは、企業にとって人材の有効活用の実現、社員にとっては失業リスク軽減というメリットがあることだ。人口減少時代に、企業-社員の双方に恩恵のあるパラレルワークは、歓迎こそすれ、拒絶する理由はどこにもないだろう。

もっとも、ビジネスパーソンに関しては、その全てが歓迎ということにはならないだろう。なぜなら、本業を抱えつつ、他社でも活躍するとなれば、かなりの能力が求められるからだ。あくまでスキル重視の場合だが、その意味では、全体の2割程度がパラレルワーカーとしての資質を持つ予備軍ということになる。その全てが、複業に興味があるとも限らず、パラレルワーカーは10人に1人くらいに落ち着くことになるだろう。

少ない印象だが、他社がそのスキルをあてにするほどの人材と仮定すれば、影響力は2人分以上になる。そうなれば、事業を推進する上で十分といえる。こうした形で、パラレルワーカーが、企業のなかに自然と溶け込んでいけば、プロパー社員との相乗効果で、大きな成果をもたらしていくだろう。

パラレルキャリア増大が変える企業のカタチ

パラレルワーカーが、有能な外部人材として、参画企業に力をもたらすことが積み重なっていけば、プロパー社員にとっても成長の大きなきっかけとなり得る。その先には、パラレルワーカー増殖という副産物があるかもしれない。そうやって、パラレルキャリアの社会への浸透が進むと、企業のカタチも変質していくことになるだろう。

つまり、コアな部分を残しつつ、プロジェクト単位で動くユニットの様なスタイルへのシフトだ。事業展開に合わせ、プロジェクトを発進。その都度、コアメンバー以外に外部人材を招集し、プロジェクトを遂行。完了すれば解散する。そうやって、市場に柔軟に対応しながら、最適な人員で最適なアウトップを生み出していく。極めて合理的な“経営”の実現を、パラレルワーカーが後押しするのだ。

これまでの働き方は、年功序列と終身雇用のもと、ひとつの企業で勤め上げ、退職金をもらってリタイアするのが基本だった。だが、終身雇用制度が崩壊したいま、複数の企業を掛け持ちし、自身の頑張りで、十分な稼ぎを得ることが、結局は「安定」へとつながるスタイルへと変質しつつある。

新しいワークスタイルの中では当然、古いワークスタイルは錆びつき、そのままでは厳しい状況にさらされる。昨今、企業が副業解禁に寛容になりつつあるが、それを単なる小遣い稼ぎと捉えるのではなく、複業へと発展させるスキル磨きのきっかけと捉えるのも、一考だ。「複業なんてとんでもない」。そんな風にしか思えないとすれば、実践するかはともかく、しがみ付いてでも手にしたい「安定」には到底たどり着けないということだけは、認識しておいた方がいいだろう。(了)

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