
変化する働き方の流れを正しくつかむためのヒント
「働き方を考えるカンファレンス2017」セッションダイジェスト
さきごろ開催された「働き方を考えるカンファレンス2017」(主催:一般社団法人at Will Work)。総勢54人の専門家、有識者らによるセッションはいずれも特濃級の内容。その中から、働き方を考えるヒント満載の注目セッションを厳選し、ダイジェストでお届けする。
副業・兼業解禁のキモ
オープニングを飾ったのは、副業・兼業解禁で話題のロート製薬社長兼COOの吉野俊昭氏。話題は当然、そこへ集中。解禁の理由については、「外を見ることで知見が広がり、自社へのフィードバックが期待できるから」と明かした。原動力は、危機感で、自身も社内他部門を回ることで視野が広がった経験を反映させたという。
もっとも、やりたい人誰もが副業・兼業に取り組めるかといえば答えはノー。バーをやりたいという申し出は、物理的な難しさから却下。資質の部分でも、やる気満々なことは大事だが、「自分で動くパワーがあるか、自ら動いて架け橋になれるか」をゴーサインを出す見極めポイントとしていることを明かした。

リアルタイムでこの完成度。まさにプロの仕事です
現実的な課題についても吉野氏は語った。例えば他社で週三働くとして、自社で週二とする。自社が繁忙期で、増やしてほしい場合にどうバランスを調整するかは悩ましいと告白した。とはいえ、社員が収入のために副業をするケースは少なく、あまり問題にはなっていないそうだ。
気になる人材流出リスクについては、「あって当然だし、他に輝ける場所をみつけられたなら幸せなこと」と意に介さず、それも含めた、懐の深い副業解禁であるとした。人材流出や働き過ぎが懸念される副業解禁だが、そうした次元を超えた、社会全体を見渡した上でのアクションであることが明確になる、人材の活かし方のヒント満載のセッションだった。
“最強の働き方”実践のキモ
「最強の働き方」、「一流の育て方」の著者、ムーギー・キム氏のセッションはパワフル度満点。まさに最強の働き方を実践するグローバルエリートそのままの入魂のトークで聴衆を惹きつけた。
著書のようなビジネスパーソンになる人の共通項としてキム氏は「子どもの頃から自分でやりたいことを決める人」とズバリ。逆に「他人が決めたモノサシで計られている以上、一生幸せになれない」と明言した。
さらに、世界のグローバルエリート界隈ではパラレルキャリアやリモートワークは常識。にもかかわらず日本で普及が遅れているのは「働かないおじさんが阻害要因」と言い切った。

当日、リアルタイムで作成されたグラフィックレコード
また、海外の働き方がドラマチックに変わってきているとも明かし「辞めたいという社員に対し、1年やって帰ってきなさい意志を尊重としたり、労働時間を短くしたり、副業を奨励したり、企業がフレキシブルに社員の自己実現をサポートするプラットフォームに進化しつつある」と最新の海外事情を解説した。