働き方

テック化で推進する、働き方の抜本改革

投稿日:2017年3月29日 / by

不動産業界のテック企業が目指す変革の展望


テクノロジーの活用は、働き方改革の重要なポイントだ。いかに短時間で高い成果を出すか。その実現に最新技術の応用は最適だ。(株)インベスターズクラウドは、ITの力で不動産業界の働き方を革新。ReTech(Real Estate Tech)企業として躍動する。テック化を社員の働き方とも連動させ、業績/働き方両面で目覚ましい成果を上げている。

ReTech企業が実現する不動産業界の働き方改革

金融のFinTech、教育のEdTech、人事のHRTech…。様々な分野でIT化が加速している。ReTech企業として、業界をチャレンジングに快走する同社は、テック化でどこを目指すのか。IT化の恩恵に最も浴していない業界の代表格といえる不動産業界をどう変革するのか…。

同社が強調するのは、顧客ファーストだ。とかく不透明な業界における情報流通は、企業側にある程度のメリットはあっても、顧客にとっては不信を募らせるものでしかない。ユーザビリティも当然、よくならない。結果、顧客コミュニケーションから円滑さが失われ、業務効率までもが低下してしまう…。

「大事なことは、顧客利便性の向上。そのためには不動産市場の透明性を高める必要がある。創業時からそうしたことを意識し、常に改善しながらパフォーマンスを磨いている」と同社執行役員の村上哲也氏。時代とともに非効率となった業界の慣行をIT化でクリア。その結果、収益性も高める。それが、同社がIT化を追求する大きな理由だ。

社員構成比率の変化が如実に示す、IT化

同社のIT化は、社員構成比率の変化が如実に示す。2015年12月に9.9%だったITエンジニアの割合は、2016年12月には20.3%と倍以上に増加。一方で、同社で営業にあたるコンシェルジュはむしろ微減し、20%とITエンジニアより少なくなっている。その間、売り上げは増加しており、IT化により、営業における業務効率が大きく進展したことが分かる。

クライアント向けサービスをIT化で磨くことは珍しくない。だが、同社ではさらに、業務レベルにまでIT化を落とし込み、作業効率の向上につなげている。その洗練された働き方には、かつての不動産企業のイメージはほとんどない。

独自の社内システム活用で、営業スタイルを一新

肝となっているのが、ICと呼ばれる社内システムだ。顧客リスト、進捗状況、提案資料などが、常にアップデートされ、担当者はそれをもとに無駄なく顧客にリーチ。情報は全社で共有され、各担当者は週一のミーティングでムダやムラを随時チェック。最適の状態をキープする。それにより、担当者は顧客へのアプローチや提案内容のブラッシュアップという重要業務へ労力を集中的に投入できる。

ボトルネックとなりがちな顧客リストの補強も、電話営業でなくインバウンドで蓄積。DMP(デジタルマネジメントプラットフォーム)と呼ばれる、自社開発のシステムを活用し、専属の社内マーケッターによるアドテクによる広告展開で、ユーザーの行動を解析するなどし、スマートに顧客開拓。月1000件以上もの反響を獲得している。

「不動産業界では、例えば営業ひとつをとっても、リストでしらみつぶしに電話をかけ、見込みを掘り起こします。しかし、営業される側は、タイミングもありますし、なにより押し付けられるのは迷惑。そうした部分を解消するために、興味のある人からインバウンドで連絡が来るようITを活用し、仕組みを整備しました。ですから、弊社では、コンシェルジュがデータに応じ、顧客の都合に合わせてアプローチするだけで済むようになっています」と村上氏は明かす。

コンシェルジュの選定も、顧客がレビューを参照にするオープン型で、限りなく効率を追求。その後のアクションでもチャットのやりとりだけでクロージングまで持っていく社員がいるほどで、どこまでも無駄がなくスマートだ。別の不動産会社からの転職組が、その洗練された業務体制に触れ驚いたというのも無理はない。泥臭さなど微塵もない同社の営業スタイルは、まさにReTech企業を象徴しているといえるだろう。

タイムパフォーマンスを上げるが共通認識

もっとも、同社にはタイムパフォーマンスを上げるという共通認識はあるものの、その実現をサポートする制度があるワケではない。「あってもいいかもしれませんが、制度は結局、縛りになる」とあくまで、個々の裁量に委ねる。ないとはいえ、一応、フレックス制はある。ただし、コアタイムがない変形版。つまり、縛りはない。あくまでも、社員個々によって異なる顧客の状況に合わせるための融通だ。

チャットのやり取りのみでクロージング手前までいく者もいるというほどのスマートさ

徹底したIT化で業務効率化が進む同社ではいま、改善以上にいかに無駄や非効率を減らすかに全員が頭を使っている。幹部社員も常にそうしたアンテナを立て、社員の動きや声に耳を傾け、迅速に対応。無駄の排除を無駄なくスピーディーに実行する、引き算の改善で効率化に磨きをかけている。

働き方改革から業界変革が本丸に

テック化を加速する同社は、2017年2月に簡単な顧客対応をチャットボットで行うなど、AIの導入も開始した。「今後、会社が大きくなっていっても、それに比例してコンシェルジュが増えるということにはならないでしょう。もちろん、人がやるべき領域はありますから、いなくなることはありませんが」と村上氏。徹底して、社員のタイムパフォーマンスを高める。それはつまり、人がやることが最も有効なことを突き詰めることと同義ということだろう。

「働き方改革」。あらゆる業界にテック化の波が押し寄せる中で、もはやこの言葉の意味そのものも大きく変質しつつあるのかもしれない。“業界変革”で躍動する同社のひとつひとつのアクションは、それを実感させるのに十分なインパクトと成果をあふれさせている――。


【会社概要】
社名:株式会社インベスターズクラウド
本社所在地:107-0062 東京都港区南青山2-27-25-7F
代表者:代表取締役 古木 大咲
設立:2006年1月23日
資本金:6億192万円
従業員数:300名(2016年12月末)
事業内容:アプリではじめるアパート経営「TATERU」の開発・運営
アプリではじめるスマートライフ「TATERU kit」の企画
ネットで賢くリノベーション「スマリノ」の開発・運営
不動産投資型クラウドファンディング「TATERU FUNDING」の企画・運営
URL:https://www.e-inv.co.jp/

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