働き方

働き方改革はどこがズレちゃっているのか…

投稿日:2017年3月29日 / by

国会議事堂の目の前で行われた大胆集会

永田町の中心で働き方改革に物申す--。2017年3月28日、参議院議員会館で政府が進める働き方の問題点をあぶり出す集会が開催された。発起人は働き方評論家で、千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏。同日に、働き方改革実現会議で実行計画が示されたタイミングで繰り広げられたイベントは、働く現実に即した働き方改革のあるべき姿を探る、まさに“裏働き方改革実現会議”といえる白熱の議論が繰り広げられた。

左から常見氏、おおた氏、赤木氏、中川氏(3月28日、参議院議員会館で)


働き方実現会議では、“安倍裁定”により、月の労働時間の上限が最大で月100時間未満で一応の決着となった。この点について、常見氏は「ワーク・ライフ・バランスの充実を目指すハズが気が付けば、生きるか死ぬかの“ライフ”の議論になっている」とズバリ。生活を豊かにするための働き方改革が、いつの間にか過労死ラインを突破する生死に関するデッドラインを決める議論にすり替わっていることに、慨嘆した。

決して働き方改革をハナから否定するつもりはない。多くの人にとってプラスになるハズの取り組みだ。だが、やり方を間違えるとイメージだけが膨らみ、何の実もない茶番に終わる可能性がある。登壇した育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、ゆとり教育を引合いにだし、働き方改革が漂わせる嫌な予兆を指摘する。

「ゆとり教育はその当時必要とされたが、一方で学校の成績が下がるという副作用があることは予見できた。だからこそ得られる果実もある。ところが、そのことを置き去りにして時がたち、副作用が出始めてヤバいとなった。働き方改革で長時間労働を是正すれば、当然、売り上げ等への副作用がある。その辺りのコンセンサスをいまのうちからしっかりしておかないと、同じ轍を踏む可能性がある」。

なぜ“働き方改革”でも長時間労働は是正されないのか…

これに関連し、元博報堂社員でウェブ編集者の中川淳一郎氏は、電通問題と絡め、こう指摘する。「高橋まつりさんの件があったが、電通の働き方は変わっていない。その原因はお客様至上主義。夜10時退社で競合とのコンペに全く勝てなくなっている」。長時間労働を是正することは多くの労働者にプラスだ。だが、そこに業績が連動する以上、結局、しわ寄せはどこかにいく。業務量が減っていない現実の中で、労働時間だけを減らすことは非現実的だ。究極的には、ダウントレンドを容認することくらいしか解決策はない。

フリーライターの赤木智弘氏が提言する長時間労働是正に対する解決案は、別の意味で究極的だ。「労働時間の制限はなくしてしまえばいい。ということは意識しないと死んじゃうかもしれない。会社のお仕着せじゃなく、自分がどう働きたいか考えないと問題解決にはならない」。逆説的だが、働き方改革は、働く個人が自分事として考えなければ、本当の答えには辿り着けない、ということだろう。

90分の制限時間はあっとう間に過ぎ去ったが、論者の鋭い指摘によって、政府が進める働き方改革のどこがズレているのかは明確になった。根本は、ダウントレンドにある中で、いまだ昭和の右肩上がりの成功法則をひきずりながら、新しい時代の働き方改革を推進していることだ。政府の主導で、きめ細かい方向性を打ち出すことにはどうしても無理がある。だからこそ、企業や個々が、その大枠を踏まえ、独自の“改革”にカスタマイズすることが重要となる。その意識が浸透していくなら、働き方改革も一定の成果を上げた、と何年後かに振り返られるのかもしれない…。

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