働き方

フリーランス増大が示す働き方改革の必要性

投稿日:2017年3月31日 / by

増大するフリーランスの背景

フリーランスが拡大を続けている。ランサーズの実態調査では前年比5%増の推計1122万人。その経済規模は推計で、前年比15%増の18.5兆円にのぼる。活躍するフリーランスが口にする転身理由の多くは「前職でくたびれ果てた」。従来の働き方がもはや、企業に活力をもたらすスタイルとして機能不全に陥りつつあることをあぶりだしているーー。

クラウドソーシングのランサーズの年に一度の祭典「Lancer of the Year 2017」。このイベントでは、1年間で活躍したフリーランスが表彰される。いわば、トップレベルのフリーランスが集う晴れ舞台だ。ここで表彰されたフリーランスのほとんどは、会社員からの転身組。その理由の多くは、激務で仕事のやりがいを見失ったというものだ。

クライアント賞を受賞した春田雄一朗氏は、過酷な労働条件で働くうちに好きな仕事が嫌いになった。そこで自分を変える決意でフリーに転身。今ではクライアントから厚い信頼を獲得し、仕事の意欲を取り戻し、スキルもどんどん磨き上げている。

ルーキー賞を受賞した赤枝加菜子氏は、前職で長時間労働が続き、女性が働き続ける選択肢の少なさを痛感。そうしたことに捉われない働き方としてフリーランスを選択。未経験ながらライターとして仕事を受け、生き生きと仕事に取り組んでいる。

IUターン賞を2年連続で受賞したヒカゲヒトミ氏は、ゆかりのない北海道へ移住しWEBデザイナーとして活躍。仕事があふれる東京からあえて離れ、現実逃避するように北海道に居住するが、クライアントの信頼も厚く、安定した収益を確保。フリーランスとして札幌での生活を満喫している。

次世代ワークスタイル賞を受賞したエンジニアの鈴木光行氏は、仕事に追われることを回避するためフリーに転身。ただし、年の半分は会社員に専念する“二毛作”で、やりたい仕事と稼ぐ仕事を分離。仕事で発生する悩ましい問題を見事にクリアし、充実した日々を過ごしている。

働き方改革とフリーランスの密接な関係

こうした事例は、1000万人以上のフリーランスのごく一部でしかない。あちこちの職場では、受賞者が会社員時代に体験したような状況に苦しみ、その多くは疲弊し、十分にポテンシャルを発揮できないままくすぶり続け、心身を病んだりしている。こうした状況を察し、危機感を抱く企業は、働き方改革に前向きだが、一方で個々が抱える課題にマンツーマンで対応するのは決して簡単でない。

とはいえ、労働環境が悪い為に優秀な人材が能力を発揮できていないとすれば、これほどの損失はない。それでなくとも昨今はどの企業も人材不足にあえいでいる。増大の一途をたどるフリーランスの背景に、企業の働かせ方のまずさがあるとすれば、自爆と言わざる得ないだろう。

フリーランスの環境整備進むほど、企業の人材流出リスクは高まる

こうした追い風にあおられるようにランサーズの秋好陽介社長は、新たに「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会を創る」とビジョンを掲げ、フリーランスの就労環境の一層の整備に乗り出すことを宣言した。まだまだ正社員に比べれば安定感はないが、そこを徹底して整備することで、新しい働き方としてのフリーランスの地位を確固たるものにするのがそのゴールだ。

働き方改革の文脈でも注目されるフリーランスという働き方。企業がかつての成功体験に囚われ、改革を躊躇していると、優秀な人材は、他社でなく、自我に目覚め、自分という個人を軸に仕事を請け負うプロフェッショナルへと“進化”。企業から流出人材が相次ぐことになっても不思議はないかもしれない…。

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