
20代ハイクラス人材の“志”を刺激するスカウト型求人サイトが誕生
安定志向の若者のマインドに働きかけ、行動を促すサイト
高齢化による人口減少が深刻化する中、20代のハイクラス人材に特化したスカウト型求人サイト「AMBI」がさきごろ開設された。エン・ジャパンが運営する。その狙いは、まさに「20代よ、大志を抱け」。ポテンシャルの高い若手人材を“適所”へシフトさせることで、日本全体の労働力最適化まで見据える意欲的な新サービスだ。

若者よ、大志を抱けの思いを込めた新サイト(左=峯崎氏、右=天野氏)
若者3年離職率は久しく3割前後を推移する。原因として、就活時の情報の非対称性が挙げられる。一方で、就活における学生の安定志向が過半数越えという調査結果もあり、20代会社員の“志”が薄れている印象もある。同サイトは、こうした悩ましい状況にズバリ切り込むものといえる。
「昨今、若者の仕事観は変わりつつあると思います。かつてのように上を目指す意欲が減ってきているのかもしれません。それは否定しませんが、いまの仕事で世の中に何か成し遂げましたか、と問いたい。志を持った可能性のある若者を刺激、そうした環境を用意し、転職をサポートをする。このサイトが、そういう役割を果たせればと思っています」と同社人財プラットフォーム事業部事業部長の天野博文氏は、立ち上げに込めた意気込みを熱く語る。

20代の峯崎氏と「ミドルの転職」運営にも携わる天野氏を軸につくり込んだ
翻ること1年以上前、同社は「20代活躍支援プロジェクト」をスタートしている。その目的は、活力、能力ともにあふれながら、企業に囲い込まれ、活躍の場も与えられず、埋もれている20代の「埋蔵人材」の掘り起しだ。これまでにも活動を行っているが、同サイト開設は、そのひとつの集大成といえる。
マインドを刺激する求人サイト--。それだけに、まずは使ってもらうことが重要となる。もっとも、対象は、ポテンシャルの高い20代。加えて、アプローチしたい訴求点はどちらかといえば潜在的な意志。求人サイトとしてのハードルは決して低くない。そこで、開発にあたっては、20代へのヒアリングを重ねた。同世代の人員もプロジェクトに加えた。そうしたことなどで、「AMBI」はこれまでにない求人サイトに仕上がっている。
事前に合格可能性が分かる機能を搭載
大きな特徴のひとつは、合格可能性が分かる機能「マイバリュー診断」だ。求職者が「興味あり」と意思表示すると、求人企業やヘッドハンターが、その職務履歴から合格可能性を判定。3段階で回答する。あらかじめ、合否可能性が分かることは、20代求職者にとっては、重い一歩を踏み出せる、ありがたい機能といえる。自身の市場価値を認識する大きな判断材料にもなり、使ってみたくなる要素といえるだろう。
サイトを使えば使うほどポイントがたまり、活動量を可視化するなどのゲーミフィケーションの活用も特徴的だ。転職意欲が高くても、望んだ求人が掲載されていなければ、次第に活用しなくなる。ゲーム感覚で楽しめる仕掛けは、そうしたことの抑止にもつながり、さらに20代にとってはハマる要素といえ、継続的な活用を後押しするだろう。
「20代だと、転職以前に自分の市場価値が分からないというケースも多い。だから、合格可能性は必要と考えた。事前に判定するのは、なにも保険的な意味だけでなく、自分の市場価値を知ってもらいたいという狙いもある。よくない判定なら、希望の会社にまだ自分の実力は足りない。そうしたことを認識し、もう少し今の会社で頑張るという判断材料にしてもいい」。こう話すのは、自身も20代で開発プロジェクトに携わったダイレクトリクルーティング部マネージャーの峯崎直哉氏。どうすれば、潜在意識に働きかけられるかを同世代目線で進言し、特長的なサイトづくりをアシストした。
人口減少フェーズの中、政府主導で1億総活躍社会の実現が叫ばれ、昨今は女性やシニアの就労を促す動きが活発だ。こうした潮流ももちろん大事だが、減少傾向にある若者が安定志向でチャレンジを止めれば、日本の未来は拓けない。「埋蔵人材」への問題意識から生まれた同サイト。そこからあふれる求人サイトを超えたメッセージが、ハイポテンシャルな若手人材へどんな形で届くのか、その成り行きに注目だ。