働き方

働き方改革のゴールとは

投稿日:2017年6月16日 / by

働き方改革はどこへ向かい、何をもたらすのか

働き方改革の先にある働き方の未来図

2013年ごろから本格的に動き始めた働き方改革。ビジネスパーソンの価値感の変化や政府の牽引もあり、シフトは着実に進んでいる。一体、その先に、何があるのか。連載最終回では、働くの未来を展望し、働き方改革のゴールをあぶり出す。

一致団結していいものを大量に作り、世界中に安く売りさばく。このビジネスモデルで世界の頂点に立った日本はいま、人口減を元凶にするその崩壊で、下り坂を下っている。再構築のため、多様で変革性のある付加価値の高い製品づくりに商機を見出し、もがいているものの、なかなかうまくいっていないのが実状だ。

残業や年功序列、終身雇用といった、従来の働き方からの転換で、そうした産業構造の変化に対応しているものの、それだけで解決できるテーマではないことも浮き彫りになりつつある。在宅勤務で通勤地獄から解放され、残業規制で長時間労働は是正されつつある。イクメンも少しは増えた。確かに職場は快適になった。生産性も向上した。だが、これで完結なのか…。

働き方改革の先にある本当のゴール

働き方改革が一定のレベルに到達した時、多くの企業がこうした壁にぶち当たるハズだ。長時間労働の是正や子育て支援充実は紛れもなく働き方改革の一環だ。だが、社会・産業構造の変化で歪んだ働き方を修正したに過ぎない。不条理に従業員にのしかかっていた苦痛を取り去り、新しい環境に適合させ、正常に戻しただけだ。

正常に戻ったことで、採りづらかった人材は採りやすくはなるだろう。離職者も大幅に減少するだろう。だが、あくまで、市場でライバルとしっかりと戦える体制が整ったに過ぎない。登山でいえば、上るための準備が完了しただけだ。本当の改革は、その中で、全社員の叡智を結集し、考え抜かねばならない。職場を働きやすくすることを働き方改革と思って気を抜けば、痛い目にあうことになる。

政府の号令で加速する働き方改革。取り組んでいる企業やそこで働く社員が本当に考えるべきは、どうすれば、グローバルに通用する圧倒的な製品・サービスを生み出せるか、だ。少なくとも、働きやすくなった職場なら、以前の数倍はいいアイディアが飛び交うだろう。それが成就した時、初めて、働き方改革は、完結したといえるのかもしれない…。その意味では、社員の意識改革こそがその本丸であり、その前段でしかないこの改革の潮流に乗りきれない様では、前途多難といわざる得ない…。

労働時間8時間未満が標準になり、いわゆる通勤も半減し、オフィスにいるのはせいぜい正社員が3分の一程度。そこには女性はもちろん外国人、シニアも入り混じる。ルーティンワークのほとんどはAIに代替され、社員のほとんどは企画に頭を費やしている。オンラインも交え、会話と笑顔の絶えない職場からは、斬新な企画が次々生まれ、試行錯誤を繰り返す――。

働き方改革によって、ムダや理不尽の消えた未来の職場。そこは、極限まで生産性の高まった空間であり、人の知力を引き出す場だ。人間は、やりがいがあれば、能力を最大限に発揮する。まさに夢中になる。それは確実に、最高の製品やサービスを創りだす原動力となる。働き方改革にゴールがあるとすれば、そうした職場づくりであることに異論はないだろう。
(了)
→第一回 なぜ、働き方改革は必要なのか

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