働き方

やりたいことをやることとマネタイズの境目にあるものとは

投稿日:2017年9月11日 / by

変人・安田の境目コラム

なぜやりたいことしかやらないと決めたのか

どういう事業が儲かるのか。私も、そればかり考えている時期がありました。熱心に日経新聞を読み、競合他社をチェックし、自社の戦略を見直していく。当時の経営者にとっては、正にそれが真面目に経営することだったのです。

私自身、とても真面目な経営者だったのです。でも今は、不真面目になりました。当時の私から見たら、とても不真面目。でも、今の私から見たら、とても真面目。新聞を読まなくなったことも、競合他社をチェックしなくなったことも、決して不真面目ではないのです。

ここ数年、私は自分がやりたい事しかやっていません。自分がやりたいこと、面白いと思うこと、楽しめること。それ以外は、やらないと決めました。どんなに儲かりそうでも、やりません。それは、真面目に生きようと、決めたから。

儲けを最優先する、という、経営者としての真面目。それは、安田佳生としての、不真面目。安田佳生の真面目は、安田佳生を楽しませること。そう、思い至った訳です。

誤解しないで頂きたいのは、私は儲けを度外視している訳ではない、ということ。マネタイズは、とても重要なポイントだと思っています。でもそれは、儲けを最優先する、ということではない。

マネタイズと最も儲かる方法の違いとは

何か面白いことをやり始めると、必ずこう聞いて来る経営者がいます。「どこでマネタイズするの?」と。この質問は、間違ってはいません。マネタイズがないと、事業は続けられないからです。

でも私には、違和感があります。この質問をして来る経営者への違和感。なぜなら、彼らが聞きたいのは、めちゃくちゃ儲かる理由だからです。ここでマネタイズします、という説明をしても彼らは決して納得しません。何故ならそれは、彼らの常道を外れているから。つまり、最も儲かる方法ではないからです。

なぜ、そんな回りくどいことをするのか。なぜ、もっと効率良くやらないのか。なぜ、そんな無意味なことをするのか。なぜ、もっと儲かる方法を考えないのか…。

彼らの疑問は、必ずそこに行き着きます。でも私には、答えようがないのです。なぜならその理由は、単に私がやりたいから。なぜ、やりたいのかと言うと、楽しいから。楽しいと思うことをやって、生きていく。そのためにはマネタイズも必要。だから、マネタイズの方法を考えるのです。

利益を最大化することこそ、経営者の仕事。その考えを、否定するつもりはありません。でも私は、そのために頑張る気には、なれない。そしてそれを、不真面目だとは、思えないのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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