働き方

働き方用語の正しい読み方【ファシリティマネジメント】

投稿日:2017年9月26日 / by

職場を空間として最大化する重要性

直訳すれば「施設管理」だが、その意味はもっと奥深い。簡単にいえば、設備としての職場を、働く人の力を最大化するために行うさまざまな施策を含むマネジメント。コスト面にも踏み込み、総合的に生産性性を向上させる取り組みにもつながる。

誰もが気軽にMTGに参加できるスペースづくり

総務省の調べでは、国内テレワーク導入企業は2割にも満たない。つまり、8割以上の企業がいまだオフィスでヒザを付きあわせ、仕事をするのが一般的だ。それはともかく、仕事をする場として、どこまで快適さを追求しているかといえば、残念ながら旧態依然なのが、実状といえる。

大きなフロアに部署ごとに島があり、机が規則的に並ぶ。こうしたスタイルは、統制をとったり、画一的な作業を効率的にこなすには適しているかもしれない。だが、多様性のいまの時代に円滑な組織運営を実践するのに適しているかといえば、甚だ疑問だ。

ファシリティマネジメント(FM)ではこうした空間としての職場をいかに創造的で生産性を高くするか、といった視点で見直し、その設計段階から、ひいては、企業の課題から踏み込みながら、空間設計にその解決策を落とし込んでいく。

FMの意義を解説する槌井氏

「我々が提供するサービスは、オフィスにおける社員のワークスタイル変革を目指すファシリティマネジメントを活用したコンサルティングおよびプロジェクトアドバイザリーサービス。グループ各社で培った経験および専門性を強みにオフィスに新たなワークスタイルのコンサルティングを行います」。こう話すのは、パーソルファシリティマネジメント(株)社長の槌井紀之氏。まだ日本ではなじみはない、認定ファシリティマネジャーとして、これまでに数多くの実績を積み重ねている。

コラボが自然に実現する多様性に最適化した職場

同氏らが手掛けたパーソルグループのオフィスで実例をみてみよう。最近のオフィス移転に伴う事例では、社員が相互に刺激を与えあいイノベーションを創出するコラボレーションワークを基本として、オフィス設計を展開。集中して業務に取り組むスペースがあるほか、フロアのあちこちに、すぐに打ち合わせができるようなコーナーがいくつもあり、アイディアをその場で形にする環境が整っている。

立ったまま“ホワイトウォール”に書き込み、打ち合わせ

旧来のオフィスでは、例えば他部署とのコラボは、上長がコンタクトし、会議室を予約して、参加者のスケジュールを調整するなど、手続きが多く、どうしてもスピード感が緩慢になりがちだ。だが、同社でFMされたオフィスでは、全てが思いついた瞬間から打ち合わせへと移行でき、ムダがない。「後で」がないことで、プロジェクトにスピード感がでる。そもそも部署の壁も、最初から各々が好きな場所で業務に取り組んでおり、その時点でコラボが実現している。まさに多様性にフィットした空間がそこにある。

会議に外野から参加できるつくりのオープン会議室

働き方改革の文脈で、昨今は生産性の向上が強く叫ばれるが、その多くはいまだ業務効率化や残業削減を合言葉に泥臭く行われているのが実状だ。有効な側面もあるが、確実に限界がある。設計段階からオフィスを見直し、その目的を明確にすることで、職場はガラリと変わる。

そもそも、生産性を上げてくれるような魅力が職場になければ、現代ではほとんどの作業はテレワークでも可能。あえてオフィスに行く必要がなくなってしまう。そう考えれば、FMは今後、人材を最大化する“第四の経営基盤”として、経営戦略においても重要マターになってくるだろう。

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