
働き方用語の正しい読み方【フリーランスの日】
ついに誕生したフリーランスの日とは
クラウドソーシングのランサーズがさきごろ、12月16日を「フリーランスの日」として制定した。一般社団法人日本記念日協会の認定を受けたもの。今後、同日を複業・兼業を含む広義のフリーランス啓蒙の日として、様々な発信を行い、その理解促進、啓蒙活動等を行い、フリーランスの働く選択肢を広げていく。

左から日本記念日協会加瀬清志代表理事、フリーランスの中沢氏、ランサーズ秋好陽介社長
そもそもなぜ、12月16日なのか。その理由はいたってシンプルだ。制定したランサーズが、日本で初めてクラウドソーシング「ランサーズ」のサービスを開始した日なのだ。2008年の創業当時、その登録者は3ケタがやっとだったが、2017年12月時点では100万人を超える規模にまで成長。それはまさに、フリーランスの拡大の歴史とそのままシンクロする。
かつてのフリーランスは、正社員になれない人、諸事情でやむなく辞めたような人が、組織に所属せず、自身のスキルや人脈でビジネス展開するイメージが強かった。自由な反面、収入は不安定で、社会的にも決してよくみられていたわけではない。
ランサーズが国内のパイオニアとなったクラウドソーシングは、こうしたフリーランスの不安定を解消する仕事探しのプラットフォームとして機能。案件と個人をつなぐ画期的なサービスだった。だが、登録者の拡大こそ順調だったが、フリーランスゆえか信用度が低く、高額案件や大企業からの案件はなかなか増えない。やがて、クラウドソーシングが案件のダンピングを加速するという悪評も拡がりはじめる。
そうした中でもランサーズは、フリーランスの地位向上への施策を矢継ぎ早に投入。フリーランスが抱える課題のクリアに尽力してきた。2015年ごろからは、政府が働き方改革を打ち出し、時間と場所に捉われない雇われない働き方にも注目が集まり、フリーランス啓蒙の強い追い風となる。
フリーランスが当たり前の社会実現へ加速
10周年を迎えた2017年には同社は新たなビジョン「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」を掲げ、次なるステージへと歩を進めた。ポイントは、個人の信用力向上で、テクノロジーによる個人情報の精査や可視化で、<何者か分からない>というフリーランスの課題を一掃。むしろ個人の持つパワーを最大化することで、個人融資も可能にする信用力を担保する基盤を創り上げることが、今後10年の目標となっている。

ランサーズ調べ
同社が記念日制定に合わせフリーランス196人に行った悩みに関する調査では、1位が「お金の不安定さ」、2位は「社会保障」に関する悩みだった。雇用が保証されている正社員に対し、仕事さえいつ途切れるか分からないフリーランス。この状況の打破こそが、フリーランスを当たり前の世の中にする最大の壁だが、個人融資を可能にする信用力を担保する基盤が確立されれば、多くの問題は解消へ向かう。
海外におけるフリーランスの調査“Freelancging in America”によると、アメリカ国内で2027年にフリーランスがノン・フリーランスの人口を上回り、50%を超える(2017年は労働力人口の36%)という予測が出ている。フリーランスがフィットしやすいお国柄とはいえ、過半数を超えるのが10年後に迫っているというのは驚きだ。日本では、ランサーズの最新調査で広義のフリーランス数が推計1,122万人。3年連続で上昇しており、今後さらに加速しそうな勢いだ。
企業に所属し、定年まで全うする働き方が事実上終焉したいま、ポスト正社員の最有力候補のひとつがフリーランス。その働き方は、個人がクラウドソーシング上で案件を探し、その実績を積み上げることで請負額のアップや契約の継続・拡大を獲得。さらに、事業拡大となれば積み上げた信用度に応じ、融資を受ける。誰にも頼らず、これまで企業に所属して行っていたことを個人の範疇で実行する。そんな風景が何年か後には当たり前となるだろう。
企業と個人が全く対等になる社会。現状では、企業に所属している方が気楽で何より安定、と感じる層が多数派だろう。だが、そんな常識は数年もすれば、いともあっさりと逆転しているかもしれない…。