働き方

会社と個人の関係が対等になると働き方はどう変わる?

投稿日:2018年3月2日 / by

働き方を考えるカンファレンス2018レポート

2017年に続き、2回目となる「働き方を考えるカンファレンス2018″働くを定義∞する”」(主催:一般社団法人at Will Work)が先ごろ都内で開催された。”働き方を選択できる社会づくり”のテーマ通り、従来の働き方に縛られない、未来の働き方をイメージするにふさわしい内容のセッションが1日を通し、行われた。


基調講演では、「ALLIANCE」の著者の一人、クリス・イェ氏と翻訳者でほぼ日CFOの篠田真貴子氏が登壇。シリコンバレーで実践される「アライアンス」という雇用形態について解説した。

アライアンスとは英語で同盟の意。ビジネスでは「提携」といった言葉がしっくりくるフレーズだ。その名の通り、企業と個人の関係が、同盟関係、つまり対等になる。変化の激しいシリコンバレーでは、個人が成長のために職場を選び、出来なければ去る。企業にとっても、最先端のサービスを追求するためににはそうでなければ、生き残っていけない。そうやって、環境に適応する形で磨かれていった仕組みといえる。

日本でもいまや、さすがに終身雇用が当たり前という考えは薄れつつある。とはいえ、それでもできるだけ長く雇用関係を続けたいと考える経営者も少なくない。だが、イェ氏は「社員がキャリアを積める会社を創っていくべき」と提言。経営者が、優秀な個人の可能性を閉ざしてはいけないとメッセージを送った。

昨今は、日本でもフリーランス人口が増大し、個人と企業の関係も変わりつつある。だが、場当たり的な“提携”ではなく、戦略的に企業の側は、個人との関係を構築することが重要、とイェ氏は力説。篠田氏も、日本でこうしたアライアンス型の雇用関係でつながる働き方を実現することは十分可能、と後押しした。

コワーキングスペース・WeWorkはどこがすごいのか

「アライアンス」は、まさに働き方を選択できる社会にふさわしい企業と個人の新しい関係といえる。基調講演ではほかに、「職場の変革」についての講演も行われた。登壇したのは、WeWork Japanの日本ゼネラルマネージャーの髙橋正巳氏と森ビル副社長の森浩生氏。空間提供のノウハウを熟知する森氏と革新的といわれるWeWork日本法人代表のセッションからは、なぜWeWorkがすぐれているのかの一端が垣間見えた。

左から高橋氏、森氏

コワーキングスペースそのものは、日本でも数年前、大量に誕生した。だが、市民権を得るまでは成長しなかった。なぜ、WeWorkは、これほどまで注目されるのか。その理由は、一つは圧倒的なクールな空間創り。2つ目は、きめ細かいネットワークづくり。そして3つ目はタイミングだ。

イケている空間を提供する国内コワーキングスペースはもちろん存在する。だが、WeWorkが提供するスペースは誰もが「ここで働いてみたい」と思う、圧倒的な魅力が詰まっている。そして、世界15か国で展開するネットワークをコミュニティマネージャーが触媒となり、入居者の交流を活性化。そこで働くことのソフト面での充実感を当たり前のように付与する。

WeWorkは豊富な資金力をフル活用し、こうした環境づくりを実現。まるで見計らったように、企業と個人の関係が大きく変化するタイミングで立ち上がったことで、一気にスパーク。大企業の活用も追い風となり、一躍コワーキングスペースの注目株に躍り出た。森氏も、We Workについて、場の提供はあくまで取っ掛かりというところに大きな可能性があると、その潜在力を認める。

次世代の働き方の可能性に期待を抱かせる、これら基調講演を発火点に、働き方に関するさまざまなテーマで1日に渡り繰り広げられた数々のセッション。2回目を迎え、聴衆の質も求めるレベルも上がる中で、いずれも過渡期にある日本の働き方の変化をハッキリと示す、興味深いものばかりだった。

企業と個人、そして、働く時間や場所…働くにおけるあらゆる要素がいま、従来のものから変質の方向へ向かっている。そこには、価値観の変化、社会構造の変化やテクノロジーの進化など、さまざまな要素が多様に関わりあってくる。そこから生まれる働き方はまさに各人各様――。この日本に本当にそんな時代は来るのか…。そんな疑念を、大きな波のような勢いで飲み込んでしまう濃密なワンデーカンファレンスだった。

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