働き方

仕事のAI化が加速する平成末期をブレずに闊歩するヒント

投稿日:2018年1月5日 / by

AIによる仕事代替が加速し始めた

銀行の大リストラが発表されるなど、AIによる“仕事略奪”はもはや他人事ではない。2018年も「いままで通りに安泰で」とお祈りしても、テクノロジーの進化は待ってくれない。必ずしも敵視する必要はないものの、AIに負けないスキルを持っていることはなによりの“お守り”となる。実際のところ、どんな職種がヤバく、どんなスキルが安泰なのか…。平成末期の2018年をブレずに闊歩するヒントを調査データから探ってみる。

AI=脅威ではないが十分に意識はする必要がある

2018年を迎え、今年の決意を誓った人も多いだろう。売上げアップやスキルアップもいいが、その前に考えておいた方がいいことがある。自分のスキルはAIに代替されるのか、だ。されるから即危険ということではない。AIの当面の活用法は、単調業務の代替と想定されるからだ。とはいえ、関わっている仕事がAIで代替可能だとすれば、より以上に磨き上げる、もしくはそうでない別のスキルを習得した方が、10年後を考えれば安心だ。

8割超が「10年内にAIに代替される業務アリ」と回答する調査も

エン・ジャパンが興味深い調査を行っている。「AIに代替される仕事/されない仕事」だ。それによると、81%の転職コンサルタントが「10年~20年以内にAIに代替される業務がある」と回答。具体的な職種にも言及している。

上位は経理、財務、会計系、事務、コールセンター。業種では金融があがった。いずれも業務パターンがある程度固まっており、データを処理する類のもの。こうした作業は、AIの得意分野で、人がやるよりAIの方が正確。それでいて速く、低コスト。経営目線で考えても、近い将来、AIに取って代わられるのは確実といえるだろう。技術的にはすぐにでも可能な域にあるが、2016年の調査時(76%)から代替可能性のポイントがさらに5ポイント上がっているのは、現実的で生々しい…。

AI化については、デジタルネイティブさえも必ずしも楽観しているわけではない。マクロミルが2018年に新成人となる500人に行ったアンケート調査では、「AIに期待している」が37%に対し、「期待していない」が29%と上回った。その一方で、「AIに不安がある」と回答したのは、期待の有無に関係なく、48%に及んだ。AIへの違和感が少ないと思われる世代でも、その“脅威”は不気味に感じるようだ。

マクロミル調べ

では、どんな業務が「安泰」なのか。職種では経営者・COO・経営幹部が77%で断トツのトップ。とはいえ、これが「安泰」といわれてもピンとは来ない…。なにより、こうした分野のAI活用も進められており、説得力は低い。安泰の理由としては「AIを活用するにしても最終的には人が判断する必要があるため」、「稼ぎたい、社会貢献したいなどの経営者の気持ちはAIに理解できないと考えるため」があがっているが、微妙な印象だ。

以下には、経営企画・事務計画系、営業系、弁護士・弁理士、人事・総務系研究・開発と続いている。経理や財務系に比べ、企画力や創造力が求められる職種だけにそれなりの説得力はあるが、「安泰」といえるのかは微妙だろう。その意味で、どんな業務がなくならないと考えられているのかを押えておくことは、今後の参考にはいいかもしれない。

AIも予測不能なスマッシュが打てるのが人間の強みだ

トップは「相手の意図を汲み取り、臨機応変に対応する必要がある業務」、「他社とコミュニケーションを取りながら進める業務」、「マネジメント業務」、「新たな事業やサービスを企画する業務」などがあがっている。これらは、AIで解析できたとしても、実際に人間同士で確認しなければ、判断しきれない側面が多く、確かにうなずける。もっとも、機械的な作業でも、こうしたやり取りをきちんと取り入れるタイプの人間もおり、結局は、人間力がAIに勝る最強の武器ということに落ち着くのかもしれない。

これまでの会社員人生で、与えられた仕事を100%こなし、ミスなく、忠実に働いてきたと自負するビジネスパーソンは、いま一度考えて欲しい。「自分の足跡はAIで代替できるのか」ということを。そのキーワードは企画力や創造性だ。「他の誰にもできない」ということも大事だが、一定の法則やパターンにこだわらず仕事をしてきたか。そこを軸に仕事を振り返る。そこで、なんとなくでも引っかかるようなら、今年からでもそうした意識を高める働き方にシフトしていくことが、今後10年を考えたとき、モヤモヤを感じることなく前進できる働き方といえるかもしれない。

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