働き方

日本一厳しい審査基準の会社表彰イベントに新傾向

投稿日:2018年2月27日 / by

第8回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の受賞企業が決定

日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の8回目の受賞企業が2018年2月27日、都内で発表された。年々注目度が高まる中、今年は大企業から応募が目立ち、働き方改革による地殻変動が着実に進行していることを裏付けるような形となった。

なによりも「人を大切にする」ことを重要視する同賞は、例年、中小規模の企業のエントリーが多く、受賞企業もそれに比例するのがこれまでの傾向だった。ところが今年は、いわゆる大企業の応募が全体の2割を占めたという。国内全企業のうち、大企業は0.3%といわれており、この数字はかなりの高水準といえる。

コンプライアンスを重視する大企業にとって、“日本一厳しい”企業評価イベントは、目指すには願ったりといえるが、そのハードルは想像以上に高い。例えば厚労省が示す基準値をクリアしていても、同賞の審査ではさらに厳しい基準が設定されている。審査プロセスで高ポイントを獲得していても、納税の面で少しでも怪しい点があれば、問答無用で落選となる。

その意味では、帳尻合わせの上っ面だけの“ホワイト”では、丸裸にされ、叩きのめされかねない。あまりの厳しさに審査では言い合いになることさえあるというが、同賞では一切妥協しない。規模が大きくなるほど、そうした部分までチェックすることは困難になるため、実は大企業ほどハードルが高いのが、同賞といえる。

そうした中で、厳しい審査を通過し、受賞した大企業は3社。萩原工業(岡山県倉敷市)、コネクシオ(東京都新宿区)、前田工繊(福井県坂井市)だ。萩原工業は、業績でなく社員の雇用と生活を第一にし、リストラをしない経営姿勢などが、コネクシオは、携帯電話の販売という厳しい職種ながら、「ESなくしてCSなし」を経営の重要テーマとし、正社員率76%などの姿勢が、そして前田工繊も社員の希望と生活の安定を重視するなどの姿勢が評価され、受賞となった。

厳格すぎる審査基準で増える企業表彰イベントと一線

過去最高となった応募企業総数108社は年々同賞への注目度が高まっている証しといえるが、それに比例して大企業のエントリーが増えていることを審査陣は評価する。大企業が同賞の基準をクリアすれば、その下請けや関連企業にも好循環でおすそ分けがいくからだ。そこまで見据え、同賞は厳格な審査基準を設けている。審査委員長の法政大学大学院政策創造研究科の坂本光司教授は、「いかがなものかという賞も見受けられる」と昨今、増加傾向にある、働き方関連の表彰イベントに苦言を呈したが、同賞はそうしたものは完全に一線を画している。

大企業も同賞を本気で意識し始めた。それはつまり、企業規模が大きく知名度があっても、人を大切にしなければ永年続く経営はできないということの裏返しでもある。過労死がなぜだめなのか。それは人を儲けの道具としてしか見ていないからに他ならない。同賞のもう一つの傾向として、社員から「社長の取り組みを評価して欲しい」という“他薦”ともいえる自薦が増えたことがあるという。

社員が社長を表彰して欲しいと願う会社。もはや何の説明もなく、「大切にしたいと思える会社」と誰もが認めるハズだ。ひたすら数字を追い、社員の尻を叩いていれば売上げがついてくる時代が終わったいま、いかに気持ちよく人を動かすか。経営の要諦は、明確にそこへシフトした。同賞の審査基準は、そこを目指すための厳しくも理にかなった指標。そう考えれば、その意義が鮮明になるハズだ。

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