
時給を自分で決める私の3つの判断要素とは
変人・安田の境目コラム
なぜ私は自分の時給を自分で決めるのか
私は自分の時給を、自分で決めています。顧問をする場合は、時給4万円。それが妥当かどうかは、誰にも判断できません。判断出来るのは、私だけ。もちろん、クライアントから見た妥当性も重要です。妥当だと思わなければ、仕事を頼まないでしょう。
ではその妥当性は、何によって決まるのか。一般的な市場価格なのか、あるいは成果なのか。普通に考えれば、成果ですよね。でも、そうじゃない場合のほうが多いのです。普通はこれくらいだよ、とか。他社はこれくらいだよ、とか。残念ながら、多くの人にとっての妥当性は、一般的な価格との対比からつくられるのです。だからこそ、相手に委ねてはならないのです。いくらが妥当なのか、の決定権を。
私は、自分の仕事の価格、その妥当性の判断を、自分自身で決めます。そして、なぜそれが妥当なのか、理解してもらう努力をします。もちろん、どんなに説明しても理解してくれない人の方が多いです。だから、そういう人とは仕事をしません。選ぶ権利は双方にあるのです。
お金としての報酬と同様に重要な感謝されるという報酬
では、出来る限り、高く自分を売りたいのか…。正直そこは、微妙なところです。高く評価して欲しいのは確かです。でも、最高値で売りたい、という訳ではない。私の場合、自分の時給を決める要素は、大きく分けて3つです。
まず、自分の年収。どれくらい稼ぎたいのか。次に、商品としての妥当性。どのくらいの価値を、もたらすのか。そして3つ目は、顧客満足。いくらだったら、喜んでもらえるのか。1000万円の価値をもたらす仕事。顧客はそれに200万円払ってもいいと思っている。それを50~60万で売りたい。そして、すごく喜んでもらいたいのです。
お金としての報酬と、顧客に喜ばれ、感謝される、という報酬。その、どちらも欲しい。だから、そういう価格設定にしています。もっともっとスキルアップして、もっともっと価値をもたらす自分になりたい。でもそれは、報酬を増やす為ではありません。より多くの依頼が来て、より楽しい仕事を選ぶため。つまるところ、価格とは生き方なのです。
どのように生きたいのか。成果をもたらし、顧客に感謝され、受け取った報酬で美味しい食事と、お酒を楽しむ。飯がうまいことが、私の生きる指針なのです。
<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。