働き方

信用や感謝が社会的特典につながれば社会はどう変わるのか…

投稿日:2018年4月12日 / by

働き方の過渡期だから重要な働く意味

なんのために働くのか…。新年度が始まり、新入社員が初々しいシーズンだが、ほどなく五月病の季節でもある。就活で残業や時短労働の有無を質問する学生もいるという時代。働く=お金のため、という価値観もじわじわと変質へ向かっている気配だ。

「働く」はその語源を辿ると、はたの動詞化とされ、体を動かすといわれる。<傍らを楽にする>という言葉遊び説もあるが、いずれにせよ、働くことにお金を儲けるという意味合いは薄かったようだ。ところが昨今は働くはイコールお金儲けであり、人を蹴落としてでも、というニュアンスさえ漂う。

その蓄積が労働者の心身を疲弊させ、職場から楽しさが喪失。ブラック化が進行する。働き方改革がそうした潮流への反動に起因している側面は強く、社会構造の変化とシンクロしながら、大きなうねりとなっている。そうした中で貨幣中心経済社に取って代わり、評価経済社会へシフトするというトレンドも浮上。日本ではクラウドファンディングやVALU、社内通貨などが、通貨に代わり流通する動きもあり、価値観のパラダイムシフトもありうるムードだ。

中国ではすでに「信用」が重要な価値に

その是非や理想形の追求はともかく、隣国中国ではすでに「信用」が貨幣に準じるような価値となり、特典として社会的に優遇される仕組みも整備され、インフラとして機能し始めている。アリペイが提供する「芝麻信用」だ。このシステム下では、個人の行動データがスコアリングされ、その数値によってさまざま特典が受けられる。スコア化にあたっては、アリペイでの支払い履歴や学歴/職歴の他、資産保有状況、交友関係などが利用されるという。

信用スコアが高ければ、本来必要なデポジットが不要になる他、病院などでの料金後払いも可能になる。一般的に信用に値する行いをスコア化しているにすぎないが、これが可能なのは、中国がキャッシュレス大国だからだ。アジアでは韓国が90%と群を抜いているが、中国も60%といわれ、人口を考えれば、すさまじい浸透率といえる。評価経済はキャッシュレスと相性が良く、今後さまざまな展開も予想され、より深く社会に食い込んでいきそうな勢いだ。

日本でも注目の動きが発進

一方、日本はキャッシュレス決済比率がわずか2割程度。この潮流には完全に出遅れている。だが、経産省はさきごろ、人手不足対策などを大義に将来的に80%のキャッシュレス化を目指すことを提言。まずは2025年にも40%を目指すという。そうなれば、日本でもシェアリングエコノミーの拡大とシンクロしつつ、頑張りや信用がストレートに評価につながる評価経済社会の実現が現実味を帯びてくる…。

注目の動きもある。オウケイウェイヴがさきごろ打ち出した「感謝経済プラットフォーム」の開発だ。その名の通り、感謝を価値化する新たな経済圏の構築で、2018年6月中に既存の「OKWAVE」ユーザーに対するサイト内トークン配布、感謝指数スコアの提供を開始する。

膨大な蓄積データを8つの軸で整理してスコア化

膨大な保有データで実効性のある「指数」を算出

同社の取り組みが、これまでみられた評価経済に類する動きと異なるのはその地力だ。19年に渡るQ&Aサイト「OKWAVE」運営で蓄積したデータは3,600万件以上に及び、ユーザー資産も膨大にある。これらをAI、ブロックチェーン、チャットなどの各最新技術と融合することで、より実効性のある「感謝指数」を算出することが可能となる。

感謝経済プラットフォーム上では、民泊やカーシェア利用時の特典付与なども検討されており、より多くの人から感謝される人が、経済的特典を受ける仕組みが確立される。将来的には、採用や不動産賃貸などの場面での利用も視野に入れており、まさに貨幣中心経済に変わる新たな社会構築への期待がかかる。

感謝経済構築の青写真を語る兼本社長

「当社は、『互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与する』の企業理念に則り、互い助け合いのQ&Aサービスによる『ナレッジシェアリングエコノミー』を通じて感謝経済という新しい経済圏となっていくことを目指します」とその野望を語る同社兼本謙任社長。今後、同プラットフォームを広く外部企業へオープンにし、新しい経済圏の構築を目指す。

信用を軸にした融資はフリーランスの活躍を支援するクラウドソーシング企業も取り入れ始めており、お金だけが働く目的という体制は、徐々に崩れ始めている。過渡期にある働き方改革の動きと併行するように変質へ向かう働く側の価値観。なんのために働くのか…。働く=お金儲けという一元的な価値観のみでは迷宮入りしがちだったモヤモヤも、新たな社会で多様な価値観が当たり前に共存するようになれば、十人十色の生き方も鮮明になり、スッキリと晴れることになるのかもしれない。

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