複数の仕事をするだけが、副業の本質にあらず
お毒 ここんとこ店とよそでダブルワークしてるじゃない。なんだか、時間が過ぎるのが早すぎで怖いわ。ゴールデンウイークなんて全く関係なしだし…。
猫田先生 店なんて、週に5人くらいしか客が来ねぇんだから、連休中は閉めちゃえばいいじゃねぇか。そもそも、よそでも仕事っていうけ、新聞配達だろ。
編集部ニシ いまはビジネスパーソンも副業をしたり仕事を2股3股したりもかつてほど珍しくないですから、やるのはいいですが、本業の穴埋めとなると、結局消耗するだけですからやり方は考えたほうがいいかもしれませんね。
お毒 やっぱりそうよね。体がきついのよぉ。朝も早いし…。新聞配達はやめて、レジ打ちにしようかしら…。
編集部ニシ そういう問題じゃなくて…。自分をより活かせる、本業にも相乗効果があって成長につながるようなお仕事をもう一つ持つのが、せっかく複数の仕事をするなら、いいんじゃないですか、ということです。
猫田先生 理想的なのは、本業でデザインをやっている人が、外部のデザインも請け負って実力を計測。どこでも通用するまで腕を磨くパターンだな。そうすりゃ、独立っていう道筋も見えてくるし、やりがいも収入もアップするってもんだ。
お毒 じゃ、あたしも別のお店でチーママを掛け持ちしようかしら…。
編集部ニシ だから、そうじゃなくて…。ただ、なにも外部に仕事を求めなくても可能性を掘り起こす道はあるでしょうね。パーソルキャリアは、「社内ダブルジョブ」という取り組みを行っています。これは本業に加え、別の部署にも同時に関われる仕組みです。通常、企業ではジョブローテーションで数年に一回の割合で部署が替わりますが、この仕組みでは同時並行で他部署に関わることができます。ただし、あくまでも本業の時間を削ることはしないので、大変だとは思います。
お毒 あたしがカウンターもやって接客もやるって感じかしら…。別に魅力は感じないけど。
猫田先生 本業を削らずによその部署に関わるとなると当人が大変なのはもちろん、受け入れる部署も迷惑だろうな。戦力として100%は計算できないわけだから。中堅社員がインターンしてるみたいで、扱いずらいんじゃねぇか。
編集部ニシ 実施を指揮した担当者は、本業への愛着が強まった、とか自分の強みや弱みが分かった、モヤモヤが晴れた、本業の成績が上がった、など、個々の感想レベルではあるものの、一定の効果は得られたということでした。
お毒 別に社内で別の部署に関わらなくても分かりそうなことのような気もするんだけど…。
編集部ニシ 外部に越境して副業なり、研修するほうがもちろん効果は高いでしょうね。反面、それでは少し障壁が高いしコストもかかる。なので、その前段階の取り組みとしては有効といえるかもしれません。
猫田先生 まぁそもそも、社内で掛け持ちするってのは、その人のことをよその部署が使いたいと思ってくれてやるのが当人にも受け入れ部署にもメリットがあるわけで、強みとか弱みを知るなんてことで、ちょっと他部署をかじるってのは、会社全体で見た時にも生産性を上げるとは思えんがな。つまり、個々が圧倒的に高いスキルを持っていれば、自ずと部署を越境する機会は出てくるということじゃねぇか。
編集部ニシ 副業解禁以降、興味を持つ人は増えているようですけど、本業以外にコンビニバイトとかでは、スキルを上げるより身を削るだけなので、賢明とは言えないでしょうね。否定はしませんけど。でも、いかに相乗効果があるか。これから副業する人はますます増えるでしょうけど、その辺り、せっかくですからズレないようにやって欲しいところですね。余計なお世話かもしれませんが。