働き方

独自指標で可視化された働き方改革の“現状”

投稿日:2018年6月6日 / by

働き方の独自指標「ワークスインデックス」を公開

リクルートワークス研究所は2018年6月6日、3回目の「全国就業実態パネル調査」の結果に基づきまとめた、働き方の独自指標「ワークスインデックス」を公開した。全国の15歳以上の男女約5万人を対象としたパネル調査で、毎年実施。量的側面に加え、質的側面もあぶり出すことで、働き方改革の進捗を可視化する。

調査結果を報告するリクルートワークス研究所・坂本氏

3回目となる今回の調査では、ワークライフバランスが64.6点で前年から0.6ポイント上昇。就業の安定も前年から0.6ポイント上昇し、63.6点となった。ワークライフバランスでは、あらゆる層でポイントが上昇。就業の安定については、女性で全年代、男性では55歳以上のシニア層でのスコア上昇が目立った。

ワークライフバランスについては、「勤務時間や場所の自由度が高い」の上昇ポイントが大きく、フレックスタイムやテレワーク導入が進んでいることが実証された形だ。労働時間については、周辺業務にかける時間を減らし、本来業務へ注力することで効率化を実現していることが透けて見える結果となっている。

同調査は、同一の個人を毎年追跡するので、上記ポイントがアップしたことは、まさに昨今の働き方改革が推進する長時間労働の是正や女性およびシニアの労働参加が進んでいることを示しているといえ、かなり実像に近い結果といえるだろう。

学習・訓練に関するポイントは減少

一方で、後退している指標もある。学習・訓練に関するポイントだ。前年比では0.5ポイント減少し、31.3点。特にOJTについては、若年層および1,000人以上の大企業に勤務する人で減少が顕著になっている。ワークライフバランスでポイントがアップしていることを考慮すれば、学習時間が増えてもいいハズだが、むしろ減少している。この点について同研究所では「OJT自体が減少傾向にあることで気づきが減り、学習機会も減っているのでは」と分析。対策として「就業者が自ら学ぶような環境を整備していくことが求められる」と提言した。

ここまでをみると、相対的には働き方改革は前進。幅広い層が労働力として活躍している。一方で、あくまでも労働時間の減少を女性やシニアがフォローしているという構図にもみえ、さらには職場での成長機会も減少しており、活力を生み出す働き方改革という域には至っていない印象だ。

老若男女がイキイキと働く1億総活躍社会は理想だとしても、若者の成長機会が減少し、自由時間だけが増えるとすれば、決して明るい未来はみえてこない。今後、外国人労働者が大量に流入し、AIの活用が本格化すれば、職場で本当に必要とされるスキルや能力のレベルは確実に高まっていく。今回の調査は、働き方改革の先にそうした危機意識に根差した意識改革が必要なことを暗示するような結果ともいえるのかもしれない…。

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