働き方

会社員の優位性をフリーランスに提供するサービスが秘める可能性

投稿日:2018年6月29日 / by

フリーランス増大時代に登場した頼れるサービス

正社員に見切りをつけ、フリーランスに転身する人がじわじわと増えている。米国の調査では、2027年にはフリーランス人口が全労働者の50%を超えるという予想もある。文化的背景の異なる日本で、そこまでフリーランスが増えるかは疑問だが、有能な人材がフリーで働くメリットが際立ち始めているのは事実だ。

正社員とフリーランスの違い(ランサーズ提供)

とはいえ、正社員とフリーランスを比較すると正社員がいかに恵まれているかが、嫌というほど浮き彫りになる。例えばライティングが職務の人なら、会社に所属していればその仕事を確保する営業がいて、作業に関わる契約を担う法務部門があり、経費に関する経理部門があり、教育等を担う人事部門があり…と、基本、仕事に集中できる環境が確保されている。なによりも毎月決まった報酬がある。加えて、社会的信用もある。フリーランスになることは、これらを捨てることになる。

潜在的にフリーランス転身を望むビジネスパーソンが多いとしても、こうした多大なメリットは、“拘束”というデメリットをはるかに上回り、自由な世界への飛翔を阻む。逆にいえば、もしも、フリーランスなのにこうした周辺環境が整っていれば、潜在層の多くが意を決するかもしれない…。ランサーズが先ごろスタートした、「Freelance Basics」は、個人の株式会社化を実現するという新サービス。その内容は、会社員の優位性をフリーランスにも提供し、両者の差分をなくすというものだ。

「フリーランスの課題は顧客獲得を筆頭に、社会保障、専門スキル・経営知識の習得など様々。また、フリーランスは会社員と違い、企業で当たり前に行われる専門領域ごとの業務分担や成長機会を全て自身で手掛けており、不慣れな作業に多大なコストがかかっています。こうした差分が課題に直結し、本来の”得意”や”好き”の発揮がしづらい環境となっています。そこを埋め、個の才能を最大限に生かせる環境を創造することがサービス提供の目的です」と同社では、サービス開始の狙いを説明する。

真の狙いは会社員との差分をなくし、働く選択肢を増やすこと

サービスのイメージは、フリーランスが抱える様々な課題を、大きく「成長」「安心」「生産性」の3つの観点でカテゴライズ。それらをさらに5つの領域に分類し、それらを補完するサービスを提供する形となる。

第一弾では、会計、法律の2種類を支援。フリーランスのお金まわりと法律まわりをサポート。料金は定額制で月額480円。提供条件は、同サービスに登録していること。同社ではすでに提供済みのサービス等と併せ、今後も支援領域を広げ、フリーランスと正社員の“格差”是正に尽力していく。

正規、非正規という表現がある。それは単なる区分ではなく、そこには歴然とした差がある。望んで非正規を選択している人もいれば、仕方なく非正規に甘んじている人もいる。非正規の一形態であるフリーランスも同様だ。同一労働同一賃金の議論もある中で、フリーランスが非正規というだけで正社員に劣るのだとすれば、真の意味で働き方の選択肢が広がる余地はない。それだけに、フリーランスと正社員の差分を埋める同社のアプローチは、単なる支援を超えた多大なポテンシャルを秘めており、どんな化学反応が起こるのか注目される。

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