
お金の役割が劇的に変化する社会で豊かさを集める人や会社とは
変人・安田の境目コラム
お金至上主義の次に来るもの
お金はとても便利なツール。それを否定する気はありません。ただ、お金の役割は今後劇的に変化してくでしょう。
お金の役割は三つある、と言われています。価値を測る役割。価値を交換する役割。価値を貯蔵する役割。
個人的には貯蔵する役割にとても疑問を感じています。物は劣化していきますが、お金は貯蔵すると増えていくからです。時間とともに片方は劣化して、もう片方は増えていく。その結果、金融資産が実体経済とどんどん乖離していくのです。
今回はその話ではなく、残り二つの役割について。測る役割と、交換の役割。ここが変化すると予測しています。
信用経済へのシフトで変わる豊かになるためのノウハウ
まず、価値を測る役割について。この単位がお金ではなくなる。正確には、お金だけではなくなる、というのが私の予想です。たとえば誰かに親切にするとか、何かを差し上げるとか、無償で何かをやってあげるとか。そこにはお金が登場しません。でも信用という実績が残ります。
この実績が、お金以上の価値を発揮する。それがこれからの信用経済です。信用のある人、信用のある会社。それがお金のある人や会社を、凌駕するのです。
次に、価値を交換する役割。お金を介さない交換が増える。少なくとも交換の2~3割が、物々交換になっていく、というのが私の予想です。その理由のひとつは、信用経済への移行です。
やってもらった価値を、いちいちお金に換算するのではなく、別の何かでお返しする。
ふたつ目はテクノロジーの進化です。個人と個人がネットやSNSで網目のようにつながった社会。そこではお金を介さない交換が、頻繁に起こるようになるでしょう。
お金にならない仕事。そことどう向き合っていくのか。お金に執着しない人や会社に、豊かさは集まってくるのです。
<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。
