
「仕事」の定義を間違えると会社は成り立たなくなる
経営者が楽しい職場つくりに躊躇する理由
職場を楽しくすれば、そこで働きたい人が集まる。人が集まって来たら、たくさんの仕事がこなせる。たくさんの仕事をこなしたら、売上も利益も増える――。
きっと経営者の皆さんも、頭では分かっているんですよ。でも、どうしても実感が湧かない。楽しさなんて押し出したら、甘い考えの人間ばかり集まる。楽することばかり考えて、しんどいことをやらなくなる。
欲しいのは、とことん頑張る人。少々キツイことでもへこたれず、多くのインセンティブを稼いでいく。そういうハングリーな人。
「最後はカネでしょ」と、ついホンネを言って叩かれた政治家の人を思い出します。最後はカネ。じつは、これは間違っていないのです。
どんなに楽しくて、どんなにやりがいがあっても、生活できないとどうにもなりません。でもそれは最後なんですよ。決して、最初ではない。
「仕事がある」会社とは
だいたい仕事に見合う給料なんて、出て当たり前なんですよね。だって仕事をしているわけですから。給料を払うのなんて、別に偉くもなんともないんです。
仕事を与えているとか、働かせてやっているとか、雇用を創出しているとか、もうそんな話じゃないんです。
商品がどこででも買えるように、仕事なんてどこにでもある。それが今の世の中なのです。問題はその仕事をやりたいかどうか。楽しく働いて、しっかり稼げるかどうか。
仕事はある。でも人がいない。募集しても来ない。これ以上は給料も増やせない。そういう仕事は「ある」とは言わないのです。
一人ひとりの得意が活かせて、人に必要とされて、喜ばれ、しっかりと稼げる職場。それが「仕事のある」会社。
<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。
