働き方

低成長は本当にマズいことなのか…

投稿日:2019年3月4日 / by

<変人・安田の境目コラム>

国家の方針と国民の思いがアンマッチな理由

国家が会社化して行く一方で、社会は家庭化しているようにも見えます。使わなくなったものをあげたり、みんなでシェアしたり、お金を配る人までいたり。国家は会社のように、数値による成長目標を掲げる。人々は拡大や所有よりも、緩やかでも持続可能な生活を求める。つまりマッチングしていないのです。

右肩上がりもっともっと稼ぎ、もっともっと消費し、もっともっと子を産み、もっともっと国を発展させる。それが国家の求める人材。ほどほどに稼ぎ、無駄な消費を抑え、計画的に子供を産み、平和な人生を過ごしていきたい。それが実際の国民。どんなに政治家が煽っても、日銀がお金を余らせても、欲しくないものは買わない。死ぬほど働いてまで、豊かになりたいとは思わない。まず、この現状を受け止めること。それが大事だと思うんですよね。

低成長でも楽しく暮らせる

江戸時代はずっと低成長社会でした。でも文化は栄え、人々は楽しく暮らしていました。これが本当の国民性なのかもしれません。元に戻っただけなのかもしれません。戦後がむしゃらに頑張った。人口もどんどん増えていった。世界第2位の経済大国にもなった。素晴らしいことです。でもきっと、異常なことでもあったのです。バブルの崩壊は、ひとつのきっかけに過ぎなかった。なんとなくそんな気がします。

考えるまでもなく頑張り、考えるまでもなく働き、考えるまでもなく成長する。それは正常な状態ではないのです。非常事態だった。だから頑張れた。非常事態が終わった。だから元の生活に戻った。それだけのことなのかもしれません。

右肩上がりが普通だというのは昭和の感覚。穏やかな日常を繰り返すというのが平成の感覚。国民の感覚はもう昭和には戻せないのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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