働き方

働き方用語の正しい読み方【RPA】

投稿日:2019年5月21日 / by

人手不足なのにリストラを断行する先に明るい未来はあるのか

働き方改革によって日本の生産性は上がっているのか。その成果の声よりも、とりわけ大企業によるミドル世代のリストラが目立っているのが実状だ。それはつまり、体質転換でなく、構造を見直し、不要なものは捨てるというだけの不健全な施策といえる。

人口減少で人手不足が深刻。そうであっても、報酬が多めで見合った働きをしない層は、再教育でなく辞めていただく。それがいまのところ働き方改革によって目につくアクションだ。

本来は、誰もがイキイキと働けるように残業はできるだけなくし、量ではなく質で結果を出すことが目標とされていたはずだが、そのためにかかる労力を考えれば、ダメな部分はバッサリ斬り捨て、本体を身軽にすることで改革を加速させる。それが“効率的”との判断なのだろう。

RPA導入を最大化するために必要な視点

人材の質を高めることで生産性を上げる戦略は間違ってはいない。だが、カットした労力を完全に補うのは簡単でない。そうした文脈で、“労力”として存在感を高めているのがRPAだ。ロボティックプロセスオートメーションの略で、工場におけるロボット作業のホワイトカラー版と考えればわかりやすいだろう。

仕組みは至ってシンプルで、決まりきった業務をソフトウエアに覚え込ませ、再現させるのが基本となっている。劇的に速いというより、ミスなく、24時間働き続けられ、人間のやりたがらない仕事を任せられることなどが、メリットとして着々とその存在感を増している。

もっとも、ルーティン業務は単調で、できればやりたくない仕事だが、そうしたことがメインになっている業務もある。データ入力はその最たるもので、それが主業務のワーカーにとってはRPAは仕事を奪う憎いやつとなる。大企業では、RPAに任せられる業務の多い職に導入することで業務を大幅カット。より売り上げ貢献度の高い部署への配置転換を促す事例も見られ、その存在は旧来の働き方に慣れしたんだワーカーにとっては簡単には受け入れづらいツールとして煙たがられている側面もある。

とはいえ、テクノロジーによる仕事の変化は今に始まったことではない。過去を振り返っても、仕事がなくなっても変わって新しい仕事が必ず誕生するという歴史がある。いつまでもRPAに拒絶反応を起こしていては、会社に居場所がなくなるだけでなく、会社そのものがなくなりかねない…。そのことを考えれば、いかに使いこなすかに頭を使うことが肝要だ。

RPA導入に成功している企業の共通項とは

「パーソルのRPA」を展開するパーソルホールディングス。そこで、多くの企業の導入支援に携わる相田顕信氏は成功する企業の特長として「専門チームを持っている」ことを挙げる。その理由は「人数はともかく、専門部門があればRPA導入について真摯に向き合う。それによって導入目的が明確になり、なんとなく導入という“失敗”を回避できる」と解説する。

左からパーソルプロセス&テクノロジーRPA導入支援部GM相田氏、パーソルテンプスタッフ・小野田氏

一方で、効率化や自動化という言葉に躍らされ、RPA導入を無駄にするケースもある。パーソルテンプスタッフRPA営業推進室室長小野田聖子氏が指摘する。「そうした失敗は、業務全体を俯瞰することなくやみくもに自動化しようとすることで、結果的に非効率になる場合がほとんど。各部署、各自の単位でRPAを導入することで目的と手段がズレてしまい、優先順位がつけられず、結果、うまくいかなくなる…」。

ベーシックなRPAは、メール仕分けや交通費申請の運賃検索などルーティン業務の自動化が一つのゴールとなるが、その先にはAIと連携することで、より高度な業務自動化という道筋も見えてくる。そうなれば、人間がやりたくない業務や人間が苦手な業務をどんどんRPAに任せることも可能になる。その結果、業務の大半は人間がやるべき創造的なものであふれることになり、人間はそのポテンシャルを全開にしてよりイキイキと働けるハズだ。

ルーティンワークはこれまで、大半のワーカーにとって退屈な“作業”だったに違いない。一方で、右肩上がりの時代の仕事の多くを占めていたのもまた事実だ。バッサリ斬り捨てられたミドル世代が、そうした業務が染みついて使い物にならなくなったのならあまりに皮肉だが、20年以上のキャリアが“ロボット”に負けるハズはない。もしかするといまこそ、封印してきたキャリアのふたを開けるその時なのかもしれない。

 

 

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