働き方

資金も組織も会社もなくした私が「よかった」と思える理由

投稿日:2019年7月1日 / by

変人・安田の境目コラム

ゼロになった私を救った世の中の変化

会社が潰れて、私はゼロになりました。まあ、正確に言えばゼロではないんですけど。スキルとか、経験とか。人脈とか、知名度とか。それがあるからゼロではない。でも資金的にはほとんどゼロ。組織も会社もなくなった状態。

いわゆるゼロリセット。そう呼んでもいいのではないでしょうか。悲しく、寂しく、不安でしたけど、結果的にはこれでよかった。そう思えることもあります。

まず、運のいいことに世の中が激変しました。これが20~30年前だったら、私は生きていけなかったかもしれません。

一番大きな変化は、組織から個人の時代になったこと。そしてもうひとつ、お金の価値が激変したこと。

組織をなくし、お金をなくした私には、とても大きなフォローでした。私はその風に乗ることにしました。いや、乗るしかなかったのです。

使えるお金はなく、動かせる組織もない。だからお金を使わず、個人のスキルを伸ばすしかない。それが結果的に、時代の波に合っていたのです。

なぜ、雇わない・育てない・管理しない経営が正しいといえるのか

人は持っているものをなかなか捨てられません。持っているお金、持っている組織。持っているスキル、持っている常識。それが捨てられない。

強制的に捨てさせられたこと。それが幸運だったと言えるほど、私は能天気ではありません。でもそれが大きな転機になった。それは事実です。

もし私があのまま、大きな組織のトップだったら。ある程度の資金を動かせる、力のある経営者だったら。今とはぜんぜん違っていたかもしれません。

雇わない。育てない。管理しない。それが本当に正しいことだと、今わたしは確信を持っています。でもそれはこうなったから言えることでもあるのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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