働き方

丸の内に今夏オープンする洒落た共働スペースの“裏の顔”

投稿日:2019年7月8日 / by

オフィスの意義が薄れる中で未来の職場に求められるもの

いまや働く=オフィスは当たり前ではない。自宅や出先、カフェなど、スマホさえあればどこでも仕事はできる。雑用やルーティンワークもRPAやAIで代替可能だ。オフィスはもはや、そこが作業をエンハンスし、創造性を高めてくれる場所でなければ、あえて使う必要はないといっても過言ではないかもしれない。

point0もっとも、産業構造が変わり、単調作業の積み上げでアウトプットを生み出すスタイルではもはやグローバルな視点からも企業が生き残るのは難しい状況となっている。その意味では、付加価値を生み出す拠点となるオフィスも、存在意義以前に創造空間として進化しなければ、そもそも企業として人材のポテンシャルを引き出せず、経営的に停滞を余儀なくされかねない…。

では、そのためにどんな空間づくりが求められるのか。なんとも困難な命題に、まっすぐ向き合うプロジェクトが2019年の夏、動き始めた。協創プラットフォーム「CRESNECT」だ。同プラットフォームは、「創造こそが仕事、となる明日へ」をビジョンに掲げ、複数企業でパートナーシップを結び、空間の新しい価値創出を目指し、データ収集から分析など、あらゆる角度から職場の未来を追求していく。

その拠点となるのが、2019年7月16日に東京丸の内にオープンする会員制のコワーキングスペース「point 0 marunouchi」だ。代官山T-CITE のデザインで知られるクラインダイムサムアーキテクツが手掛けた内装は、豊富な緑とウッド素材を多用した温かくリラックスできる空間に、執務スペースやミーティングスペース、共用空間、カフェ、仮眠ブース、シャワールーム、イベントスペースなどがバランスよく配置され、そこいるだけで右脳が刺激される。昨今は洒落たコワーキングスペースも珍しくないが、なんら引けを取らない魅力的な仕上がりだ。

未来のオフィス追求に企業がその枠を超えて連携

とはいえ、それはあくまで“表の顔”。同プラットフォームにとって、ここは未来の空間づくりのための“実験場”となる。参画企業は、実際の利用者を“実験台”に実験や検証を行い、その結果を利用者にフィードバック。実際に有料で運営しているからこそのシビアな意見も受け入れながら、創造的な仕事を誘発するワークスペース実現へ向けたエビデンスを収集する。

実例を挙げれば、okamuraはセンシングチェア「Census」でデータを収集。結果を解析し、座り方をアドバイスする。Panasonic、DAIKIN、TOAは、位置情報システムと照明、空調、音の連動による空調や照明制御のためのデータを取得。個人に最適な空間づくりのヒントを探る。point 0 marunouchiではこうした実験が複数行われ、テクノロジーを最大限に活用しながら、未来の職場の理想のカタチをあぶりだす。

CRESNECT

協創プラットフォーム「CRESNECT」参画企業が9社合同で発表会を開催した

暑いと感じる前に個別に空調が働き温度を最適化、肩こりや腰痛にならないように常に座り方をモニタリングしてアドバイス、ストレスがたまりそうなると緩和するアロマが床下から噴射され癒してくれる、仮眠スペースでは短時間で最大限の睡眠効果が得られる…。こんなオフィスなら、どんどん仕事がはかどりそうだ。

ダイキン工業執行役員でテクノロジー・イノベーションセンター長の米田祐二氏は、「CRESNECT」で目指すところとして「AI・IoTによる業務効率改善でなく、劇的な生産性向上!」と力強く宣言した。

テクノロジーによって、業務の高速化や代替は可能だが、そうではなくテクノロジーによる働く空間としての職場最適化。それによって、人間の持つポテンシャルを最大化する――。働く=職場のイメージは今後、さらに薄まりそうだが、その中でオフィスがなおも存在価値を示し、ビジネスパーソンを引き寄せるのだとすれば、そうした方向性に未来のオフィス空間としてのひとつの答えが詰まっているといえるのかもしれない。

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