働き方

テレワークを浸透させる裏ワザ5選

投稿日:2019年7月17日 / by

なぜテレワークの浸透は歩みが遅いのか

働き方改革の一環でテレワークを導入する企業が増加している。それでも総務省の調査ではその普及率は13.9%(H29年)と低調だ。技術面では障壁はほとんどないことを踏まえれば、導入を拒んでいるとしか思えない寂しい結果といえる。

テレワーク

実際、大手IT企業でもテレワークを原則禁止としているところがある。理由はたいていの場合、リアルのコミュニケーションを大切にするためだ。チャットツールなどで伝達は十分できそうだが、細かいニュアンスや正確な意思疎通にはやはり同じ空間にいることが重要というのが、拒否派に共通する言い分だ。

それ以外ではセキュリティ面のリスク、目の前にいないことによる管理面の不安などが、主に理由として挙げられている。その通りな側面も確かにあるだろう。だが、そうなると、テレワークは半永久的に導入されないということにもなりかねない…。そもそも、テレワークを導入し、生産性向上に成功している企業もしっかりと存在する。

考え方をシフトする

そうした企業に共通するのは、テレワークをあくまでも働き方の一つの選択肢と考えていることだ。その上で、社内で浸透すべく一歩踏み込んでいる。例えば、シックス・アパートは、就業規則を変更。その文言から「出社、退社」の文字を消し、代わって「勤務開始」「勤務終了」に変更したという。会社の方針として、「出社する」という概念を消すことで、社員に明確なメッセージとして発信。テレワークが当たり前の風土を築いたというワケだ。

制限を取り払う

テレワーク導入において、制限を撤廃するのもその推進に有効だ。全ての判断を個人裁量に任せ、本人が必要な時に必要なだけテレワークできるようにする。一般的には週1回までや完全在宅は月2回など、制約がある場合が多い。制約があることでどうしても活用に二の足を踏むことになりやすく、その意味でも制限をなくすことはテレワーク推進に有効といえ、実際の導入企業も成果につなげている。

理由をつける

働き方改革だからテレワークを活用しよう、ではなかなか実行に移しづらいのが実際のところかもしれない。プラスして、何らかの大義名分でもあれば、必要性を感じるかはともかく、少しは動きにつなげやすいだろう。アステリアは、猛暑日が予想される日には、午前五時に全社員にテレワークを推奨するメールを送信。社員の背中を押す。「 TDM テレワーク 」 は政府等が推進するテレワークデイズにあわせ、都心にオフィスを構える 2 3 社 、対象従業員数 約 1 3 00 名が結束して行う独自のテレワーク推進企画。2020年の東京五輪の混雑緩和を見据え、参画企業が一斉に実施する。目的が国の一大イベントに紐づいていることからも動機付けとしては申し分なく、テレワークの“壁”を一気に乗り越えられるだろう。 

TDM

仕組みをつくる

この企画では、各社が一斉にテレワークに取り組むだけでなく、独自の仕組みも構築している。参画企業でもあるヴァル研究所が同社の駅すぱーとに検索結果とコワーキングスペースを紹介する機能を追加。紹介されるコワーキングスペースは、同企画と連携しており、利用する参画企業は特典付きで利用できる。いざテレワークとなっても、自宅以外のワークスペースの確保はなかなか難しく、こうした仕組みは、その背中を押してくれるものだ。

オフィスを持たない

これは究極的な“技”だが、ある意味で最も有効な手段といえる。昨今は通信手段の進化でオフィスがなくても仕事は可能だが、それでも実際にオフィスを撤廃するには相当な覚悟が必要になる。仕事の種類によっては難しいものもあるだろう。そうした中で、孫泰蔵氏が、広大なオフィスを撤廃したことは大きなインパクトを与えた。氏いわく「いまはもはや出社する必要はない。相手の息遣いが必要ってどんな会議?」とピシャリ。楽天が社内公用語を英語にしたように、そうと決めてしまえば、よほどの不自由がない限り、意外に何とかなるものだ。

上記5つは“裏ワザ”としたが、重要なことは現在の働き方の基盤ができてから時が過ぎ、それがもはや時代にそぐわくなっているということだ。オフィスに全員が集まって仕事をすることが必ずしも効率的ではなく、むしろ多様な人材が働ける環境を整備し、それぞれが最大限に力を発揮できるようにすることが求められている。テレワークはそのためのひとつの選択肢に過ぎない。来年の今頃、東京五輪で人があふれる都心をよそに軽快に業務に取り組む。これからの働き方は能動的にストレスを回避し、快適な状態を確保することが標準になることは間違いないハズだ。

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