
会社と社員の関係が180度変わり、失われたもの
<変人・安田の境目コラム>
新卒採用がベストな戦略の確信が崩壊した理由
新卒社員は可愛いです。数ある企業の中からただ一社、自分の会社を選んでくれた。これで可愛くないわけがない。
ビジョンに共感してて、何でも素直に聞いてくれて、飲みに誘ったら喜んでくれて、社長にも好感を持ってくれている。
変な癖がついていない。優秀な素材を確保できる。そう簡単には辞めない。それが新卒採用の良さ。私はそう確信し、20年間ずっと、新卒採用を薦めてきました。中小企業にこそ新卒採用。本気でそう思っていました。
今でもそれが間違っていたとは思いません。あの時代の中小企業にとって、ベストな戦略だったと確信しています。しかし時代は変化しました。
かつての会社と社員の雇用関係は終焉
何が変わったのでしょうか。いろんな要因はありますが、本質的な変化はひとつです。それは会社と社員との関係。その根本が変化したのです。
会社に勤める、という常識。会社に従う、という常識。会社を信じる、という常識。会社に委ねる、という常識。それが変化しました。
社員を増やす、という常識。社員を雇い続ける、という常識。社員の生活を守る、という常識。社員を管理する、という常識。それも変化しました。
家族のように。みんなで仲良く。みんなで頑張り。みんなで守る。そういう関係の終わり。ドライになった。とも言えるし、大人になった、とも言えるでしょう。会社と社員は、対等な関係になっていく。これはもう避けようのない現実なのです。
雇う、育てる、管理する、評価する。雇われる、育ててもらう、管理される、評価される。そういう関係の終焉。会社と社員というひとつの時代の終焉。
<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。
