
仕事に「良い」こととは?についての勘違いに注意
<変人・安田の境目コラム>
「売れない」「儲からない」の根源がそこにある
いい商品とは何か。いいサービスとは何か。ここに大きな落とし穴が、潜んでいるわけです。
最先端の技術を詰め込め。スピードを追求せよ。安さは不可欠である。お客様の意見に耳を傾けろ。接客には笑顔が欠かせない。とにかくお声がけしろ。顧客のところ足を運べ。メールではなく電話だ。訪問だ。
もちろんこれらが悪いわけではありません。でも良いことだとも限らない。人によるし、商品によるし、シチュエーションによっても違う。つまりケースバイケースだよね。はいその通り。みんな分かってるんですよ。分かってるけどやらない。だから売れないし、儲からない。
大事なのは何が良いかの「自分の」判断
ファストフード店で30分待たせたら、そりゃあ怒られますよ。でも高級フランス料理店では、5分で料理を全部出したら怒られます。ムードが売りのBARでは、うるさい客を放置してはいけない。でも新橋の居酒屋では、静かにしろと言ったら客は来ない。
良い商品も、良いサービスも、相手によって変わります。場所によっても、時代によっても、状況によっても変わります。より多くの人が、より快適だと思うサービス。よりお買い得だと思う商品。それがいちばん無難そうです。だからみんなそういう商売をする。だから競争が激しくなる。だからレッドオーシャンになる。だから儲からない。当然の帰結なのです。
安いものをたくさん売るか。高いものを少量売るか。中間価格をそこそこ売るか。価格だけでもいろんな選択肢があります。
私たちの商品。私たちのサービス。私たちの顧客。それを自分で決めてますか。売れそうな商品をただ並べてませんか。それ落とし穴にハマってますよ。
<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。
