
会社をスケールさせたい欲、は正しいか
<変人・安田の境目コラム>
大きい会社にしたい!社長も社員もそう思うが…
スケールという言葉。その魔力に取り憑かれた経営者はとても多いです。とにかく大きくしたい。小さな会社では話にならない。私も同じでした。
社長になったからには、やはり大きな会社を作りたい。世間に認められる、何なら歴史に名を残す、そんな経営者になりたい。
そこで何をやったか。まず社員を増やしました。新卒社員を毎年毎年、何十人も採用し続けました。4月の入社式に数十人の新人が揃う。社員総会に何百人という社員が集まる。その前でちょっといい話をする。決して自慢話ではない。説教話でもない。ちょっと素敵な社長としての挨拶。その快感たるや凄いものです。
経営者同士の会合に行けば、聞かれるのは仕事のこと。どんな事業をやっているのか。でも本当に知りたいのは、経営者としてすごいかどうか。どんな事業ですか?売上は?社員数は?答えによって相手の目の色が変わります。
尊敬する眼差しになっていくか。
あるいは見下した目になっていくか。
売上が10億を超えている。社員数が100人を超えている。そういう社長の立ち位置は、他の零細社長よりも1段高い。滑稽だけどそれが事実なのです。
スケールさせるメリットは、
今でもメリットなのか
9億円じゃダメなんですか?99人じゃダメなんですか?蓮舫議員に指摘されそうですけど。そう、9億円ではダメなんです。99人ではダメなんです。
でも10億はゴールではありません。100人もゴールではありません。なぜなら1段上がると、今度は1段上の比較が始まるからです。10億の次は30億。その次は50億そして100億。100人の次は200人そして300人。こうやって私も会社を大きくしてきました。
いま冷静に考えてみると、本当に不思議なんですよ。なんの為にやってたんだろうって。
<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。
