会社員も「笑いのセンス」を持たなければ
<変人・安田の境目コラム>
人の心をつかむ事こそ、ビジネスの基本だから
私が経営していた会社「ワイキューブ」を、人気企業ランク上位に押し上げた原動力とも言えるもの。それが笑いです。いかに会社説明会で笑いを取るか。冗談のような話ですが、我々は本気でここに取り組んでいたのです。
まずネタを考える。ネタにマッチするスライドを作る。何度もリハーサルして、笑いが取れるトークを練り上げる。仕込みがうまく行き、どっと会場が盛り上がると、アンケート結果は間違いなく上々。ランキングも入社意欲も、アップしていくのです。
風通しが良い会社。和気あいあいとした会社。社長との距離が近い会社。これを言葉で言うのは単なるムダ。というか逆効果です。
大事なことはベタに言っても全然ダメ
ちょっと考えてみてください。たとえば初めてのデートで。私は性格のいい人間です。明るくて楽しい人間です。などと自分で言ったらどうなるか。まあ、間違いなくドン引きされます。会社説明会であればスルーされる。相手の立場に立ってみれば、これは当たり前の反応なのです。
性格がいい人間。明るく楽しい人。これは絶対に自分で言ってはいけない。言葉にせずに、相手にそう感じてもらう。そのためには何が必要なのか。その答えのひとつが笑いなのです。笑うことによって人は心を開きます。その場が楽しいと感じると、一緒にいる相手を楽しい人だと認識します。
ただし笑いにはセンスが必要です。つまり人選がとても重要。同じセリフを言っても、まったく笑いが取れない人もいるからです。笑いのセンスとは、つかみ、トーク、間、オチ、のセンス。この4つの意味が分かる人。どのタイミングで使えば効果的なのかを、理解している人。人を笑わせるロジック。それは販売ロジックと同じです。人を惹きつけ巻き込む力。笑いはSNS時代の最強のスキル。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。