
経営者と社員の間に存在し続ける「深い溝」
<変人・安田の境目コラム>
「給料以上に働け」vs「給料分しか働くもんか」問題
給料が30万円と決まっているのなら、それ以上には働いてもらわないと困る。それが経営者の言い分というものです。でも働く側は正反対のことを考えます。給料が30万円と決まっているのなら、その範囲でしか働きたくない。なぜ給料以上に働かなくちゃいけないのか、意味がわからない。
どちらの言い分もよく分かります。
経営者にしてみれば、赤字社員を雇いたくない。給料以上に働くのは当たり前だろう。そう考えるでしょう。
いっぽう社員の側は、給料以上に仕事をしたくない。なぜ30万円しか払ってないのに、50万円の仕事をさせようとするのか。理屈に合わないと思うでしょう。
給料以上に働かせないと損をする。給料以上に働いたら損をする。どちらの言い分も正しいのです。だからずっと平行線。そんなバカなことがあるか!と経営者なら考えるでしょう。自分の給料の3倍は稼ぐのが当たり前だ。そんなことは社会人としての常識だと。
確かに昔はそうでした。
「もらった給料の3倍は稼げ」と言われ、「はい、分かりました」と頑張った。
そこに何の疑問も持たなかった。
でもその時代は終わったのです。
「経営者の収入源」と「社員の収入源」は違う
冷静に考えてみてください。何のために会社を大きくするのか?何のために利益拡大に貢献するのか?自分たちの未来のため?その理屈はもう通用しないのです。
利益が上がれば上がるほど、経営者の収入はアップします。でも社員の収入はアップしません。アップしたとしても微々たるもの。とても経営者には及びません。しかし問題は金額の多寡ではない。問題はその収益構造なのです。
社員の給料は会社にもたらした利益から、支払われます。
でも経営者は違います。経営者の報酬は、会社全体の利益から支払われます。つまり社員が稼いだ利益と、社員に支払った給料の差額。これが経営者の収入の源泉。
もうお分かりでしょう。利害は一致していないのです。それはもう公然の事実なのです。
