働き方

経営者と社員の間に存在し続ける「深い溝」

投稿日:2020年3月23日 / by

<変人・安田の境目コラム>

「給料以上に働け」vs「給料分しか働くもんか」問題

給料が30万円と決まっているのなら、それ以上には働いてもらわないと困る。それが経営者の言い分というものです。でも働く側は正反対のことを考えます。給料が30万円と決まっているのなら、その範囲でしか働きたくない。なぜ給料以上に働かなくちゃいけないのか、意味がわからない。
どちらの言い分もよく分かります。
経営者と社員の間の溝経営者にしてみれば、赤字社員を雇いたくない。給料以上に働くのは当たり前だろう。そう考えるでしょう。

いっぽう社員の側は、給料以上に仕事をしたくない。なぜ30万円しか払ってないのに、50万円の仕事をさせようとするのか。理屈に合わないと思うでしょう。

給料以上に働かせないと損をする。給料以上に働いたら損をする。どちらの言い分も正しいのです。だからずっと平行線。そんなバカなことがあるか!と経営者なら考えるでしょう。自分の給料の3倍は稼ぐのが当たり前だ。そんなことは社会人としての常識だと。

確かに昔はそうでした。
「もらった給料の3倍は稼げ」と言われ、「はい、分かりました」と頑張った。
そこに何の疑問も持たなかった。
でもその時代は終わったのです。

「経営者の収入源」と「社員の収入源」は違う

冷静に考えてみてください。何のために会社を大きくするのか?何のために利益拡大に貢献するのか?自分たちの未来のため?その理屈はもう通用しないのです。

利益が上がれば上がるほど、経営者の収入はアップします。でも社員の収入はアップしません。アップしたとしても微々たるもの。とても経営者には及びません。しかし問題は金額の多寡ではない。問題はその収益構造なのです。

社員の給料は会社にもたらした利益から、支払われます。
でも経営者は違います。経営者の報酬は、会社全体の利益から支払われます。つまり社員が稼いだ利益と、社員に支払った給料の差額。これが経営者の収入の源泉。

もうお分かりでしょう。利害は一致していないのです。それはもう公然の事実なのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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