働き方

働き方が変わる今、経費精算システムも大きく変わる

投稿日:2020年6月9日 / by

時代の変化に備えるための、「クラウド型経費精算システム」の導入

テレワーク、在宅勤務、オンラインでのビデオ会議などが当たり前になり、社員が出社をせずにビジネスを進める方向へ時代が大きく舵を切っている今、経費精算のあり方も変わっていかざるを得ない。外出時の交通費や出張費、得意先との交際費などの経費精算をする機会が多い営業職や、リモートワークなどで業務を進める機会が増えつつある企画・開発職、そしてそうした従業員に対して経費精算を担う経理担当者の側にとっても、業務の進め方改革は待ったなしの課題と言える。
クラウドで経費精算システム 
またそうした時代の要請に応じる形で、2016年以降、「電子帳簿保存法」(電帳法)の改正が行われ、会計帳簿と証憑書類(請求書や領収書など)を紙媒体でなく、電子データで保存することがだんだん認められるようになってきている。つまり、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した紙の領収書の電子データを使って外出先や出張先からいつでもどこからでも経費の申請や承認が可能になっているわけである。

この法改正に伴って使い勝手が良いクラウド(SaaS:サース※1)型経費精算システムも続々と登場。業務効率の大幅な改善につながることから、ここ数年の間で経費精算システムを導入する企業が増えている。
そこで今回は働き方改革の有効な手段の一つとして注目される、このSaaS型経費精算システムについて現状をまとめてみる。  ※1:Saasとは「ソフトウエア・アズ・ア・サービス」の略。クラウドサービスの一種。インターネットを介して場所やデバイスの違いを気にすることなくユーザーに機能を提供できる。

SaaS型を中心に需要が高まる経費精算システム

ここ数年、クラウドサービスの一種である「SaaS型」の経費精算システムが相次いで登場するにつれ、それを導入するユーザー企業も業種や企業規模を問わず増加の一途を辿っている。
ITコンサルティング・調査会社アイ・ティ・アール(ITR)がまとめる市場調査レポート『ITR Market View:予算・経費・就業管理市場2019』によると、2017年度にSaaS市場は前年度比22.5%増 の大幅な伸びを示し、初めてパッケージ型経費精算ソフトの売上金額を上回った。2018年度以降もSaaSを選択する企業が増加すると見ており、2022年度にはSaaS市場が市場全体の約7割を占めると予想されている。

『就業管理市場規模推移および予測』提供形態別(2016~2022年度予測)

『就業管理市場規模推移および予測』提供形態別(2016~2022年度予測)

 

主要ベンダー4社の「SaaS型経費精算システム」の特徴

市場の需要に応える形で、SaaS型の経費精算システムは近年とくに使い勝手の良い機能を拡充している。大ざっぱに整理すると次のような5つのメリットを実現していると考えて良いだろう。
1) 従業員や経理担当者の業務効率の改善
2) 紙の書類の大幅な削減(ペーパーレス化)
3) 帳簿書類の保管に要するコスト削減
4) 手入力作業を排除し人的ミスを防止
5) 働き方改革の推進

では、こうしたメリットを実現するSaaS型経費精算システムにはどのような商品があるのか。ここで、代表的な4つのベンダーから販売されている商品を取り上げ、その特徴について紹介する。

【ラクス社】 交通費・経費精算システム「楽楽精算」

交通費、出張費、旅費、交際費など経費精算業務における「申請⇒承認⇒精算」という一連のワークフローをすべて電子化し、業務効率の改善や人的ミスの防止を実現。この「楽楽精算」は国内の導入社数(累計)ランキングでNo.1(※2)をマークしている。 ※2:ITR「ITR Market View:予算・経費・就業管理市場2019」経費精算市場ベンダ―別売上金額シェア(2018年度予測)
●主な特徴:
・交通系ICカードの取り込み・AI自動入力、クレジットカード連携を実現
・スマートフォン・タブレット対応により、撮影した領収書の電子データの添付が可能に
・経費申請時に選ぶ項目を勘定科目や税区分に自動で紐づくように設定し、仕分けする
ことが可能
・電子帳簿保存法への対応によるペーパーレス化を促進

【米コンカー社】「Concur Expense(コンカーエクスペンス)」

交通費、交際費などの経費の申請・承認は、場所や時間を選ばずスマートフォンを介して完結。経路検索連携をはじめホテルの手配、タクシーの配車、Wi-Fiルーターのレンタルなど必要に応じたサービスと連携。経費明細が自動で取り込まれる。
●主な特徴:
・仕訳・振込データを自動生成
・国内の経路検索サービスや交通系ICカードとの連携
・コーポレートカードとの連携
・交通費や交際費など経費関連の外部サービスとの連携
 ⇒タクシー配車やカーシェアリング手配などの外部サービスとシームレスに連携
経費が発生するさまざまなシーンにおいて利便性の高いサービスと連携することができ、経費精算の自動化を促進

【Donuts社】「ジョブカン経費精算」

仕訳・振込データを自動作成し、精算業務を自動化するSaaS型経費精算システム。機能性が高く、使いやすい操作性であるにも関わらず、業界最安クラスを実現。
●主な特徴:
 ・仕訳・振込データを自動生成
・電子帳簿保存法への対応
⇒領収書などの電子データをアップロードする際、自動的にタイムスタンプを付与
 ・シンプルで使いやすいデザイン
  ⇒経費申請や承認、経理業務を簡易に行えるシンプルでわかりやすいデザイン
 ・1ユーザー350円~(初期費用・サポート費用不要)利用可能な業界最安クラスを実現

【マネーフォワード社】「マネーフォワード(MF)クラウド経費」

領収書内容の自動読み取りなど手入力を徹底して省く経費申請を実現。空き時間を使ってスマートフォンアプリで経費の申請・承認を可能に。さらに、仕訳データの自動登録、申請チェック機能など経理業務の負担を大幅に軽減する機能を搭載。
●主な特徴:
 ・スマートフォンで領収書を撮影するだけで、時間や場所を問わず経費申請・承認を完了
・経費の明細を自動で取得
・ワンタッチでの取り込みで、経路検索から交通費の入力が可能に
・家計簿サービスとの連動で立替経費と個人支出を分けて管理することが可能に

SaaS型は今後の経費精算システムの主流となる可能性も

導入社数において最大のシェアを持つ「楽楽精算」を開発・販売するラクスでは、全国の3月決算企業の経理担当者400人を対象に、2020年1月16日からの4日間にて「今年度の決算に向けての意識調査」を実施。
その調査において「今年度の決算業務は例年よりも大変になると思うか」と尋ねたところ、約2人に1人から「大変になる」(かなり大変になると思う、やや大変になる思うの合算)との回答を得ている。

『) 
現在、働き方改革への取り組みの一環として、企業は確実に従業員や経理担当者の業務効率の改善が見込め、電子帳簿保存法に対応できるSaaS型経費精算システムへの関心は高まっている。リモートワークなどが普及しつつあるこの時代に、「紙の伝票とハンコを使った承認」を経ないビジネスインフラとして、こうしたシステムを導入・利用する企業は急激に増加していると言ってよい。
中には、コーポレート・ガバナンスの強化に向けて、経費の承認の履歴や申請内容と業務ルールの適合をチェックすることを目的に、導入・利用する企業も出てきている。
新しい勤務形態としてリモートワークが企業に定着していくことが強く予想される今後、SaaS型経費精算システムの需要はますます高まっていくと予想される。

記事協力:aur


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