「有料」と「無料」を逆転させる、ビジネス大作戦
<変人・安田の境目コラム>
「有料」は会社が儲かる、「無料」は顧客が喜ぶ、という常識を破る
無料であるはずのものを有料にし、有料であるはずのものを無料にする。
これは私自身がよく使って来た戦略です。もちろん単なる天邪鬼ではありません。
たとえばDMを有料化する。これは私が初めて考えた逆転戦略です。DMは印刷費と郵送料が高い。しかも開封率が悪い。これを何とかできないものか。
そうやって生まれたのが、書籍の出版という戦略なのです。書籍の印刷代は出版社が負担します。郵送費もかかりません。しかも買った人は必ず読んでくれる。これほど素晴らしいDMがありましょうか。問題は売れるかどうか。この一点に絞り込んで、私は戦略を練り上げました。
タイトル。目次。はじめに。ここに全エネルギーを費やしました。もちろんDMですから自社の宣伝をしたい。だけど宣伝だらけの本なんて誰も買いません。そこをどうやってクリアするのか。
宣伝広告費は高い。でも注目されれば無料で宣伝になる
広告を無料化する、という戦略も考えました。雑誌広告は出稿費が高い。しかも読み飛ばされてしまう。これを何とかできないものか。
そうやって生まれたのが、オフィスを改装するという戦略です。オフィスに大きなワインセラーを置き、100坪もあるBARをつくり、社員が無料で利用できるようにしました。結果的に取材が増え、広告ではなく記事として、どんどん雑誌に掲載されました。掲載費は無料となり、反響数は広告の100倍以上に増えました。
今でも私がやっていることのベースは、ほとんど同じです。いかにして有料と無料を逆転させるか。そればかり考えています。通常は有料でないとやらないことを、どんどん無料でやってしまう。通常は無料でやることを、何とかして有料化させる。なぜなら、そのほうが楽だからです。
有料の中の無料は強い。問題はどこでマネタイズするのか。
無料の中の有料は目立つ。問題はどうやって納得してもらうのか。
考えるべきポイントをズラす。それは最も簡単なイノベーション。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。