働き方

モノを知らない人から金を得る「情弱ビジネス」

投稿日:2020年10月12日 / by

<変人・安田の境目コラム>

情弱(情報弱者)にモノを教えてお金にするビジネスが、ありました

私はかつて、新卒採用のノウハウを顧客に売る商売をしていました。

いつ、どの媒体に、掲載すればいいのか。説明会はどうやって開くのか。そこではどんな話をするのか。面接のやり方はどうする。どうやって見抜くのだ。見抜くだけではダメだ。どうやって引きつけるのだ。

新卒採用にまつわる、ありとあらゆるノウハウを研究し、自社で実験し、顧客に販売する。それが採用コンサルティングの基本形。
情弱ビジネスという仕事
当時はまだ、情弱(情報弱者)という言葉がありませんでした。なぜなら情報は買うもの、というのが常識だったからです。

情報やノウハウが欲しければ、お金を出して買う。新聞やビジネス雑誌を購読したり、有料講演会に参加して話を聞いたり。他者がまだ知らないことを、いち早く知る。他社がまだやっていないことを、いち早くやる。その価値が絶大だった時代です。

今はどうでしょう。情報を知っていること。ノウハウを理解していること。それはもはや当たり前。

とはいえ、当たり前のことを、知らない人もいます。そういう人にターゲットを定め、ちょっと調べれば分かることを、すごいことのように見せて販売する。これを情弱ビジネスというのです。

情報が無料で手に入る時代に、ビジネスモデルはどうなるのか

私は別にこういうビジネスを否定しているわけではありません。私が言いたいのは、自覚が必要だということです。情報やノウハウを売る商売は、マーケットが必ずシュリンクします。続けるなら情報弱者をターゲットにするしかない。

そのモデルを根底から変えたいのなら、情報やノウハウは無償で提供する。まったく別の価値でマネタイズする。それが次世代のハウツービジネス。自社はどちらのビジネスモデルなのか。その自覚が必要なのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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