働き方

年齢で衰えるものといつまでも衰えないもの

投稿日:2020年11月9日 / by

<変人・安田の境目コラム>

筋力が衰えるのか、あるいは「バランスをとる」脳みそが衰えるのか

階段を軽やかに降りていく小学生。それを見て私は実感いたしました。衰えたのは筋力ではなく脳みそだと。(もちろん筋力も衰えているのですが)。

早く降りる。美しく降りる。バランスよく降りる。その根本は平衡感覚です。では平衡感覚とは何でしょう。重心が右に寄りすぎてる。前後のバランスが崩れている。それを瞬時に把握して修正する機能。言うのは簡単ですが、実行するのは容易ではありません。

ほんの少しのバランスをどこで調整するのか。頭の位置を変えるのか。それとも背骨を伸ばすのか。重心をコントロールする方法はそれこそ無数にあります。
年齢で衰えるものと衰えないもの
その選択肢の中からどれを選ぶのか。もちろん小学生は、こんな面倒なことを考えていません。だけど軽やかに階段を降りていく。

一方、おじさんである私は、ちゃんと考えないと階段を降りられない。登るのも大変ですが降りるのはもっと大変。絶妙なバランス感覚が要求されるからです。おっとバランスが崩れたぞ。でも大丈夫。私はまだまだ若い。ちょっと左に、ちょっと前に、ほらちゃんとバランスが保てた。

じつはこれが衰えの始まりなのです。意識してバランスを取らなくてはならない。つまり意識しないと脳みそが機能しない。それは私の脳みそが衰えているから。

バランスをとる機能は衰える(身体機能に限らず)。でも衰えないのは…

何かにつまずいてこけた時、とっさに手が出る。これが若い証拠。歳をとるとバタンと倒れる。手をつく前に顔や身体が地面にぶつかる。骨折して寝たきりになる典型的なパターン。

私はずっと勘違いしていました。体力の衰えを脳みそでカバーする。それが年寄りの正しい生き方だと。でも間違いだったみたいです。脳みその衰えを筋力でカバーする。それが正しい対処法のようです。

たぶん脳みそにはいろんな機能があって、バランスを保つのはその機能のひとつ。ここが衰えていくのです。

とはいえ衰えない機能もあります。それは赤ちゃんのとき最初に動き出す機能。歳をとったとき最後まで動いてくれる機能。人間が人間であることの証。それが好奇心なのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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