働き方

何もない人間が生きていくのに役立ったものとは

投稿日:2021年2月8日 / by

<変人・安田の境目コラム>

倒産、破産…すべてを失って無一文になった、その後のこと…

私はワイキューブ時代から、メルマガを配信していました。Twitterもやっていました。やってて良かったと、今しみじみそう思います。

会社が倒産して、私も自己破産して、金融財産はほとんどなくなりました。残してもらえる現金は99万円だけ。家もなし、貯金もなし、車もなし。さらに私は組織も失いました。つまり社員と顧客と商品を、同時に失ったということです。どうやって食べていけばいいのか。頭が真っ白になったのを覚えています。
何もない人間が生きていくのに役立つもの
何もない自分に残されたものは、スキル人脈だけである。当然のことながらそう考えました。だから知り合いを頼って仕事をもらい、得意なことでお役に立つことにしたのです。

それは間違いではありませんでした。身についたスキルは自分を助けてくれたし、知り合いもみんなサポートしてくれました。とてもありがたかったです。でもずっと頼っているわけにもいきません。社員には散々「自立しろ」と言ってきたのです。私も自立しなくちゃいけない。人に頼らず自分の力で食べていく。そのためには商品と顧客が必要でした。

商品開発には自信がありました。今まで散々やってきた仕事だからです。ただ新しい商品には新しい顧客が必要です。お金を使えない自分が、どうやってお客さんを集めればいいのか。

ここで役になったのがフォロワーなのです。メルマガの読者やツイッターのフォロワー。私にとってこれは自覚のない財産でした。会社が潰れても、自己破産しても、フォロワーは決して奪われないのです。

レジ袋は使わなくなったし、現金も使わなくなった、世の中のルールは変わる

友達は心の支えとなりますが、稼ぐ支えにすべきはスキルフォロワーです。このふたつがあれば食うに困りません。今や私は現金が増えるより、フォロワーが増えるほうが嬉しくなりました。

財布にほとんど現金を入れなくなったのは、電子マネーがあれば十分だから。それは事実です。でも現金に執着がなくなったこともまた事実です。正直、財布に現金が入ってるより、フォロワーが増えることのほうが安心するのです。

私のような人は確実に増えていると思います。高級ブランドのバッグや自家用車を手に入れることより、フォロワーやチャンネル登録者が増えることのほうがずっと嬉しい人たち。マネーからフォロワーへ。ルールは書き換えられたようです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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