大きな会社は生きにくい。ひとりなら食べていける
<変人・安田の境目コラム>
大企業が力強く生き残っていける時代は、もう昔の話…
ひとりで食べていくのは難しい。そう思っている人が多いです。でも私の実感はこの真逆です。ひとりで食べていくことはできる、だけど大所帯は難しい。
もちろん大所帯にも長所はあります。組織化することで役割分担できる。苦手を補い合えるし効率もよくなる。大きな資金を使ってブランド力や集客力をアップすることができる。
でもこの状況は変わりつつあります。
個人がネットで繋がれるようになった。組織化しなくても役割分担ができる。マニュアル化することで強みが消える。大きさがブランドに結びつかない。私の仕事は新商品の開発と、新規事業の立ち上げがメインです。そして、それに伴う集客。そのためのブランドづくり。ここで大きな変化が起きているのです。
どんなに斬新なアイデアも、どんなに魅力的なコンセプトも、どんなに面白い商品も事業も、あっという間に真似されてしまう。それが現代社会の特徴なのです。
新たな商品を考える。素敵なコンセプトを練る。魅力的なサイトを構築する。お客さんが集まってくる。ここまではいいのです。
どうやら業績がいいらしい。あの商品をパクろう。あのコンセプトを真似しよう。似たようなサイトをつくれ。価格で対抗しろ。あっという間に真似される。価格競争に巻き込まれる。その繰り返し、繰り返し。これではキリがありません。その最大の要因が大所帯にあるのです。
個人のお店=“零細企業”=弱い、という考え方ももう古すぎる
個人のお店なら違いを出すのは簡単です。この人がつくる料理。この人が接客する店。これは真似しようのない要素です。
しかしチェーン店ではそうはいかない。組織の共通項で違いをつくる必要があります。私たちはここにこだわります。こんな材料を使い、こんなふうに調理します。どこまでいっても真似ができてしまうのです。
こだわりというブランドにおいて、大きな組織は個人に勝つことができない。それが現代社会の特徴なのです。百人で食べていくビジネスは難しい。だけどひとりが食べていける仕事は、無数につくり出すことができるのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。