働き方

「社員を雇って、育成する会社」の不健全さについて

投稿日:2021年7月12日 / by

<変人・安田の境目コラム>

社員みんなで一丸となって会社を良くしよう!なんてもはや幻想(と私は考える)

雇わない。育てない。管理しない。これは私が社長をしているBFIという会社の経営方針です。そして私の人生ポリシーなのです。

確かに社員がいると楽です。そして楽しい。みんなで食事したり。目標達成を喜び合ったり。だけど非常に面倒くさい。

雇って育てる会社の不健全さ
社長の悩みの半分は資金繰りです。そして残りの半分は人の問題なのです。辞めるだの辞めないだの。あの上司は嫌いだの、あの部下は気に入らないだの。やる気が出るだの出ないだの。知らんがな!とは言えません。だって社長なのですから。すべての責任は社長にあるのです。

資金繰りにしたって同じ。何がしんどいって、社員の給料を払い続けることです。時には借金までして賞与を払う。だけど大して喜んではくれません。たったこれだけですかと、言わないまでも顔に書いてある。これは非常に虚しいです。

頑張って育てようとしても、研修で居眠りしていたり。新しいことをやろうとしたら、無理ですよと反対してみたり。やっと育ったと思ったら辞めると言い出す。もうやってられないと何度思ったことか。

会社が潰れて、もう一度会社をつくろうと思って、絶対に社員は雇わないぞと決めました。

社長と社員が信頼しあって良い関係を築いていくという会社に、未来は無い

雇わなければ育てる必要がない。管理する必要もありません。確かに楽しさは減りました。刺激も減りました。楽になったけど、何か物足りない。だけどこれでいいのです。

社員と社長の関係は共依存です。社長の責任感と社員の愛社精神。社長の社員愛と社員の社長愛。これが深まると抜けられなくなります。俺がなんとかしてやらなくちゃ。ずっと社長について行きます。一見とても微笑ましい光景ですが、これほど不健全な関係はないのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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