
高収入か、安定雇用か。会社員よ、どっちを選ぶ?
<変人・安田の境目コラム>
両方とりたい、という願いは、もう叶えられない時代です。
考えてみれば不思議ですよね。言われた通りのことを、言われた通りにこなすだけ。それで給料が増えていくなんて。40代になっても、50代になっても、報酬が増え続けるなんて。
いろんな幸運が重なったのでしょう。日本の労働人口が増え続けていたとか。途上国にまだまだ生産技術がなかったとか。作れば作っただけ売れた。どんどん拡大すればどんどん儲かった。たまたまそういう時代だったということ。
そろそろ認めなくちゃいけないですよ。もうその時代は終わったのだということを。
会社はもう昔のようには儲かっていないのです。儲かっているように見えても、ぜんぜん先が見えていないのです。
雇ってしまった社員は解雇できない。年功序列を約束した社員が高齢化し、大きな負担になっている。これが紛れもない事実。多めに退職金を払うから辞めてください。企業としては当然の生き残り戦略です。だけど社員には納得いかない。約束が違うじゃないかと言いたくなる。
もう認めましょう。約束は守れないと。
あの時の予測は外れてしまったのです。とはいえ会社には人材が必要です。だったらどうすればいいのか。仕事を生み出す優秀な人材。仕事をこなす普通の人材。この両方が会社には必要なのです。
優秀な人は正社員では雇えない。普通の正社員の人に高い報酬は払えない。
優秀な人材には若くても多くの報酬を払う。でないと働いてくれません。だけど彼らの報酬を数十年も上げ続けることはできない。だから優秀な人材は超高待遇の有期雇用となるのです。
一方で仕事をこなす現場の人材も必要です。真面目な人材を採用し、育成し、辞めないように定着させる。だけど人件費は抑えなくてはならない。何しろここが利益の源泉なのですから。育成は会社が行う。生涯雇用も約束する。社会保険にもきちんと加入する。その代わり報酬はそんなに上げられない。これが新時代の正しい正社員像です。
会社がつくるべきは選択肢です。リスクを負って稼ぐ働き方と、上限はあるけど安定した働き方。
社員は自らそのどちらかを選ぶしかない。なぜなら他に選択肢はないからです。
