働き方

高収入か、安定雇用か。会社員よ、どっちを選ぶ?

投稿日:2021年7月26日 / by

<変人・安田の境目コラム>

両方とりたい、という願いは、もう叶えられない時代です。

考えてみれば不思議ですよね。言われた通りのことを、言われた通りにこなすだけ。それで給料が増えていくなんて。40代になっても、50代になっても、報酬が増え続けるなんて。

いろんな幸運が重なったのでしょう。日本の労働人口が増え続けていたとか。途上国にまだまだ生産技術がなかったとか。作れば作っただけ売れた。どんどん拡大すればどんどん儲かった。たまたまそういう時代だったということ。

そろそろ認めなくちゃいけないですよ。もうその時代は終わったのだということを。

高収入で安定雇用という正社員身分はもう幻
会社はもう昔のようには儲かっていないのです。儲かっているように見えても、ぜんぜん先が見えていないのです。

雇ってしまった社員は解雇できない。年功序列を約束した社員が高齢化し、大きな負担になっている。これが紛れもない事実。多めに退職金を払うから辞めてください。企業としては当然の生き残り戦略です。だけど社員には納得いかない。約束が違うじゃないかと言いたくなる。

もう認めましょう。約束は守れないと。
あの時の予測は外れてしまったのです。とはいえ会社には人材が必要です。だったらどうすればいいのか。仕事を生み出す優秀な人材。仕事をこなす普通の人材。この両方が会社には必要なのです。

優秀な人は正社員では雇えない。普通の正社員の人に高い報酬は払えない。

優秀な人材には若くても多くの報酬を払う。でないと働いてくれません。だけど彼らの報酬を数十年も上げ続けることはできない。だから優秀な人材は超高待遇の有期雇用となるのです。

一方で仕事をこなす現場の人材も必要です。真面目な人材を採用し、育成し、辞めないように定着させる。だけど人件費は抑えなくてはならない。何しろここが利益の源泉なのですから。育成は会社が行う。生涯雇用も約束する。社会保険にもきちんと加入する。その代わり報酬はそんなに上げられない。これが新時代の正しい正社員像です。

会社がつくるべきは選択肢です。リスクを負って稼ぐ働き方と、上限はあるけど安定した働き方

社員は自らそのどちらかを選ぶしかない。なぜなら他に選択肢はないからです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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