企業のブランド差別化なんて、もう無理なんですよ
<変人・安田の境目コラム>
広告会社もコンサルも「ブランドが大事、ブランド戦略が大事」とか言うけど…
人の数だけ仕事がある。
これは私の持論ですが、そこには明確な根拠があります。その人に合った仕事があるはずだ。もちろんこれも理由のひとつ。だけどもっと明確な理由があります。それはブランドです。
私は仕事柄いろんなブランドをつくってきました。商品ブランド、事業ブランド、組織ブランド。ブランドづくりはコンセプトづくりから始まります。
「私たちはここにこだわっています」
「この商品はここが違います」
コンセプトとは他との違いを言語化したものです。コンセプトを考え、言語化する。私たちブランディングのプロにとって、実はここまでは比較的容易なのです。
問題はつくったその後。コンセプトが当たって集客に結びつく。そうなった瞬間、同業他社が似たようなコンセプトを打ち出してくるのです。どんなコンセプトでも、真似しようと思えばできてしまう。これが最大の悩みです。でもこれを簡単にクリアする方法が、ひとつだけあるのです。
それが個人ブランドです。
安田佳生のお店。安田佳生がつくった商品。安田佳生がお手伝いするサービス。こればかりは真似しようがないのです。
企業ブランドはすぐ真似される。たった1人のブランドは真似されない
たとえば10人の会社なら、10人に共通する「何か」をコンセプトにしなくてはなりません。頼む人によって違っていては、ブランドとは言えないからです。
30人の会社なら30人の共通項。60人の会社なら60人の共通項。人数が増えれば増えるほど、汎用性が高くなります。つまりどんどん真似しやすくなるのです。たとえばコーチや美容師という仕事。内容に多少の差はあれども、そこで差別化するのは容易ではありません。差別化できたとしても、そのコンセプトだけをすぐに真似されてしまう。
だけど個人なら話は別です。安田佳生のコーチング。安田佳生のカット。この時点でもう差別化ができているのです。私と同じ人間はこの世にいません。
だから人の数だけ仕事はあるのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。