
『星の王子さま』を読んで思考停止する人がいる
<変人・安田の境目コラム>
あの名作を「読めない」「意味が理解できない」という人が現れてきた?!
星の王子さまという物語をご存知でしょうか。私の大好きなお話です。二度読みすることなどない私ですが、この本だけは何度も読み返しました。そして読むたびに深く引き込まれました。とくにキツネとのエピソード。どうやったら友達になれるのかという話。つまり友達とは何なのかという話。
あまりにも良くできた本なので、いろんな人にこの本を薦めてきました。人生で迷っている人。答えが見えなくなっている人。そういう人たちが読むべき本だと思うからです。
しかし、驚いたことに、星の王子さまが「読めない」という人が、現れ出したのです。しかもかなりの割合で。
ヘビに飲まれたゾウの話とか。ヒツジの代わりに箱を描く話とか。意味がわからない。眠くなってしまう。彼らは決まってそう言うのです。
星の王子さまにはいろんな王様が出てきます。お金を数える王様や、権力を誇示する王様。王様は人間が大事だと思っているものの象徴なのです。
王様との対話で、王子様は「なぜ」を繰り返します。お金、土地、権力、仕事って一体何なのか。なぜそんなものを大事にするのか。その定義をどんどん抽象化していくのです。なぜ勉強しなくちゃいけないのか。なぜ働かなくちゃいけないのか。
そんなことを考えるのは社会不適合者。そんなことを考える暇があったら勉強する。余計なことを考える前にまず仕事をする。こう考えるのがまともな社会人。私たちの思考と常識は、このように設定されているのです。
それは「そもそもの問題」が考えられず眠ってしまう人たち
だけど納得いかない人もいます。仕事って何だ?勉強って何だ?なんで勉強しなくちゃいけないの?なんで働かなくちゃいけないの?疑問を素通りできない困った人たち。彼らは勝手に問題をつくり出す。しかも答えのない問題。考えること自体に意味のない問題。星の王子さまを書いたのは、きっとこういう人なのでしょう。
この本は読者を2分割します。書いてあることに心から頷く人たちと、意味がわからず眠くなる人たちに。
※根源的で抽象的な問いができない人の「星の王子さま現象」について、安田氏がこちらの動画で詳しく語っています。よろしかったら併せてご覧ください。
