
危機回避をしすぎて危機に陥る人になっていない?
<変人・安田の境目コラム>
危機回避は大事です。でも、ただ危機を避ければいいわけじゃない
もしものことが起こったら、大変なことになる。だからそうならないように、危機を予測して回避する。それが人間の持つ能力です。車道に飛び出さないのも、危ない場所に行かないのも、現金を握りしめて歩かないのも、すべては危機回避のための判断。現代社会の常識とも言えます。
危機回避能力がなければ、生きていくことはできません。だけどこれが強すぎても、生きていくことがしんどくなる。ここが難しいところなのです。
たとえば子育てにおいて、すべての危機を回避するとどうなるか。公園で遊具から落ちるかもしれない。友達におもちゃをぶつけられるかもしれない。こけてストローが喉に刺さるかもしれない。考えれば考えるほど、外には出せなくなってしまいます。
新しいことにもチャレンジさせられなくなります。ずっと見張っていて、ちょっとでも危険なことがあれば、事前にそれを回避する。そうすることで直近のリスクは減ります。だけど強い人間には育たない。一度もこけずに、大きな失敗もせずに、大人になってしまうことの危険。それは計り知れないものがあります。
「本当の危機管理」とはどういうことか。よく考えなくちゃ
子供には適切な失敗をさせなくてはならない。よほどの過保護でない限り、ここに異論を唱える親はいないでしょう。問題は何が適切な失敗なのかということ。それは子供に限った話ではないということ。
失敗が予測できる。ゆえにそれを回避してしまう。回避しすぎた結果、かえって結果が悪くなってしまう。それが危機回避のデメリット。成績が悪いことによる危機。大学に行かないことによる危機。安定した会社に就職しないことによる危機。会社を辞めてしまうことによる危機。それを回避した結果、いつの間にか自分の足で立てなくなってしまうのです。
リスクを犯さないことが最大のリスクである。それを言葉では理解できても、実行することは簡単ではありません。人間は頭がいいから危機を予測できます。だけどやるべきことは、目の前のリスクを回避することではありません。
どのリスクを取るのか。
それをチョイスすることが本当の危機管理なのです。
