働き方

危機回避をしすぎて危機に陥る人になっていない?

投稿日:2021年11月15日 / by

<変人・安田の境目コラム>

危機回避は大事です。でも、ただ危機を避ければいいわけじゃない

もしものことが起こったら、大変なことになる。だからそうならないように、危機を予測して回避する。それが人間の持つ能力です。車道に飛び出さないのも、危ない場所に行かないのも、現金を握りしめて歩かないのも、すべては危機回避のための判断。現代社会の常識とも言えます。

危機回避能力がなければ、生きていくことはできません。だけどこれが強すぎても、生きていくことがしんどくなる。ここが難しいところなのです。

真の危機回避、危機管理とは何か
たとえば子育てにおいて、すべての危機を回避するとどうなるか。公園で遊具から落ちるかもしれない。友達におもちゃをぶつけられるかもしれない。こけてストローが喉に刺さるかもしれない。考えれば考えるほど、外には出せなくなってしまいます。

新しいことにもチャレンジさせられなくなります。ずっと見張っていて、ちょっとでも危険なことがあれば、事前にそれを回避する。そうすることで直近のリスクは減ります。だけど強い人間には育たない。一度もこけずに、大きな失敗もせずに、大人になってしまうことの危険。それは計り知れないものがあります。

「本当の危機管理」とはどういうことか。よく考えなくちゃ

子供には適切な失敗をさせなくてはならない。よほどの過保護でない限り、ここに異論を唱える親はいないでしょう。問題は何が適切な失敗なのかということ。それは子供に限った話ではないということ。

失敗が予測できる。ゆえにそれを回避してしまう。回避しすぎた結果、かえって結果が悪くなってしまう。それが危機回避のデメリット。成績が悪いことによる危機。大学に行かないことによる危機。安定した会社に就職しないことによる危機。会社を辞めてしまうことによる危機。それを回避した結果、いつの間にか自分の足で立てなくなってしまうのです。

リスクを犯さないことが最大のリスクである。それを言葉では理解できても、実行することは簡単ではありません。人間は頭がいいから危機を予測できます。だけどやるべきことは、目の前のリスクを回避することではありません。

どのリスクを取るのか。
それをチョイスすることが本当の危機管理なのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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