AIにさせる仕事について今の在り方は間違っている
<変人・安田の境目コラム>
「人間がやりたがらない仕事」こそ、AIにやらせるべきではないか
資産運用という仕事があります。たとえば株や為替のトレーダー。生き馬の目を抜くようなすごい仕事で、当然のことながら稼ぎもいい。
エッセンシャルワークという仕事があります。高齢者の介護や道路工事など、社会を維持するのに不可欠な仕事です。だけど稼ぎはちっとも良くない。
稼げる仕事と稼げない仕事。社会に不可欠な仕事とお金儲けの仕事。多くの人がやりたい仕事とやりたくない仕事。もしAIに任せるならどちらの仕事でしょう。社会に不可欠な仕事。だけど稼げない仕事。みんながやりたがらない仕事。それをAIに委ねればいいのです。
だけどそうはなっていません。
AIが活躍するのは金融の分野です。人間の代わりに資産を運用し、どんどんお金を増やし続けているのです。何しろAIはスピードが違います。世界中の膨大な情報を集め、ミスなく分析して判断する。迷いもなく瞬間的に投資先を決める。しかも休まない。24時間お金を増やし続けてくれる。それでいて給料は1円も払わなくていい。待遇に対する不平も不満も言わない。
お金持ちにとって、これほど便利なものはありません。AIを使ってお金を増やす。増えたお金でさらにAIを進化させる。お金は加速度的に増えていく。
素晴らしい使い方だと思います。
だけど本当にこれでいいのでしょうか。お金だけをどんどん増やして、世の中は変にならないのでしょうか。
実は「人間のリーダー役」も、人間ではなくAIにさせた方が良い?
そもそもお金儲けなんかにAIを使っている場合ではないはず。何しろ人間社会は課題山積なのです。貧困とか、差別とか、環境破壊とか、イデオロギーとか、戦争とか。実はやるべきことは明白なのです。
いつまでに何をやるべきなのか。
だけどそれを人間が決めると、ものすごい不満が噴出してしまいます。
こういう判断こそAIの役割なのです。人類全体のバランスを考えて、地球環境とのバランスも考えて、感情を交えず、忖度もせず、判断する。あっという間に貧困や差別や戦争や環境破壊がなくなっていく気がします。人間は人間のリーダーには不向きなのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。