働き方

会社はいつまで社員研修をタダでやってあげるのか

投稿日:2022年2月14日 / by

<変人・安田の境目コラム>

社員は無料で研修を受けられる、会社はその時間分の給料を払う…というフシギ現象

会社がお金を払って、社員に研修を受けさせる。でも社員はあまりやる気がない。途中で寝てしまう社員もいる。なぜこんなことが起こるのでしょう。それは仕事だという感覚がないからです。会社員時代の私もまさにそうでした。

会社が社員研修をタダでやる不思議
仕事が終わってから研修がある。当時は残業手当など出ませんでした。朝礼も、研修も、給料が出ないのはおかしい。当時は本気でそう思っていました。

ようやく時代が追いついてきて、今は研修や朝礼の時間にも、ちゃんと給料が支払われるようになりました。きっと真面目に研修を受ける人が増えるでしょう。仕事中に寝るわけにはいかないからです。

だけど経営者は納得いかない。

私も経営者になったのでよく分かります。それはおかしい。研修は君たちのためにやってるんだぞ。なぜ研修や朝礼が必要なのか。それをやらないと売れないからだ。つまりやる気とスキルが低いから、研修や朝礼をやっているのであり、全員きちんと結果を残してくれるなら、こんな面倒なことはやりたくない。

それが経営者の主張。

会社が「社員を育てる」ということをやめる時代が来る

でも社員さんはきっとこう反論します。

「だってその売上って会社のためでしょ?」
「売上が倍になっても給料は倍になりませんよね?」
「つまり会社の売上のために研修を受けてるんだから、報酬が支払われるのは当たり前でしょう」
と。

だったら経営者はこう反論したくなる。

「なら給料が上がらないことに文句を言うな」
「会社が給料を払いながら教育して、それでスキルアップしたんだから、君の給料が上がるのはおかしいだろ」
と。

これまたおっしゃる通り。では給料を増やさないとどうなるか。スキルアップした社員は、あっさりと転職してしまうでしょう。辞めることは社員の権利だからです。

近い将来、会社は人を育てなくなるでしょう。なぜなら元が取れないから。ではどうやって人は育っていくのか。スキルアップしたい人は、自分でお金を払って自分のスキルを高める。身につけたスキルはちゃんと評価されて、会社から相応の報酬が払われる。支払われなければ転職すればいい。

考えてみればこれが当たり前の姿なのです。今までがあまりにもいびつな関係だっただけ。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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