
会社はいつまで社員研修をタダでやってあげるのか
<変人・安田の境目コラム>
社員は無料で研修を受けられる、会社はその時間分の給料を払う…というフシギ現象
会社がお金を払って、社員に研修を受けさせる。でも社員はあまりやる気がない。途中で寝てしまう社員もいる。なぜこんなことが起こるのでしょう。それは仕事だという感覚がないからです。会社員時代の私もまさにそうでした。
仕事が終わってから研修がある。当時は残業手当など出ませんでした。朝礼も、研修も、給料が出ないのはおかしい。当時は本気でそう思っていました。
ようやく時代が追いついてきて、今は研修や朝礼の時間にも、ちゃんと給料が支払われるようになりました。きっと真面目に研修を受ける人が増えるでしょう。仕事中に寝るわけにはいかないからです。
だけど経営者は納得いかない。
私も経営者になったのでよく分かります。それはおかしい。研修は君たちのためにやってるんだぞ。なぜ研修や朝礼が必要なのか。それをやらないと売れないからだ。つまりやる気とスキルが低いから、研修や朝礼をやっているのであり、全員きちんと結果を残してくれるなら、こんな面倒なことはやりたくない。
それが経営者の主張。
会社が「社員を育てる」ということをやめる時代が来る
でも社員さんはきっとこう反論します。
「だってその売上って会社のためでしょ?」
「売上が倍になっても給料は倍になりませんよね?」
「つまり会社の売上のために研修を受けてるんだから、報酬が支払われるのは当たり前でしょう」
と。
だったら経営者はこう反論したくなる。
「なら給料が上がらないことに文句を言うな」
「会社が給料を払いながら教育して、それでスキルアップしたんだから、君の給料が上がるのはおかしいだろ」
と。
これまたおっしゃる通り。では給料を増やさないとどうなるか。スキルアップした社員は、あっさりと転職してしまうでしょう。辞めることは社員の権利だからです。
近い将来、会社は人を育てなくなるでしょう。なぜなら元が取れないから。ではどうやって人は育っていくのか。スキルアップしたい人は、自分でお金を払って自分のスキルを高める。身につけたスキルはちゃんと評価されて、会社から相応の報酬が払われる。支払われなければ転職すればいい。
考えてみればこれが当たり前の姿なのです。今までがあまりにもいびつな関係だっただけ。
