
年長者がリーダーを務める事のたったひとつのメリット
<変人・安田の境目コラム>
「老害」なんて言葉もあるけれど。でもリーダーになるのは年長者が多いよね
なぜこの国のリーダーは年寄ばかりなんだ!と文句を言っているのは、日本人だけではないはず。そして現代だけでもないはず。きっと昔から、リーダーは年寄が多いのです。
村長とか、酋長とか、お頭とか。王さまとか、総理大臣とか、大統領とか。
いやいや。あそこのトップは若い女性だ。この国の大統領は40代だぞ。などという意見が出てくるのも、そもそも周りが高齢者ばかりだから。
なぜ年寄りがリーダーを務めてきたのか。自分達の既得権益を守るため?たくさんの人生経験をしているから?いろんな理由があるのでしょうが、一番は時間軸の長さだと思うのです。
ネットや書物のない時代なら、年寄りの知識はとても重要だったでしょう。経験から導き出した知恵も、集団にとっては金言だったはず。だけど現代は事情が違います。ググれば大抵のことは分かってしまう。知恵に関しても同じです。アイデア力や発想力なら、頭が柔軟な若者の方が優っているはず。
では現代社会において、年寄りをリーダーにするメリットは何か。
それはやはり時間感覚です。
リーダーになるメリットがない老人リーダーも、居る
私自身も57歳になったので実感します。急がない、慌てない、焦らない。歳をとることで物事の捉え方が変わるのです。
若い頃のほうが時間はたっぷりある。年寄りには残された時間が少ない。本当なら年寄りの方が焦るはず。だけど焦らない。焦っても仕方がないこと、本当に大切なものは何かということ、それが分かっているからだと思います。
時間という概念を超えて、期間が生み出す価値を知っている。本当に大切なものが分かっている。つまり物事の本質が見えている。だから目先の損得を超えた判断ができる。私が考える年寄りのメリットはこれです。
というかこれ以外にはメリットがないのです。
しかし、ここに大きな問題があります。それは老人だから時間軸が長いとは限らないこと。やけに気が短い老人だったり。やけに目先の利益やプライドにこだわる老人だったり。ギラギラした老人がリーダー務めるメリット?そんなものはひとつもないのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。