働き方

「競争に勝ちにいく会社」はゆくゆくダメになりますよ

投稿日:2022年8月8日 / by

<変人・安田の境目コラム>

勝つことを目指す生き方。それは学校の受験勉強からすでに始まっている

偏差値教育における、最大の弊害。それは競争に勝つことが、目的になってしまうことです。

それでいいじゃないか。なぜ競争がいけないんだ。競争=進化という図式で考える人は、いじめの本質も見えていません。成功者が賞賛されるのではなく、足を引っ張られてしまう。それは努力や成果ではなく、勝つことが目的化した社会の弊害なのです。

勝ち組をめざす企業の行く末
勉強ができるようになるためには、自分の学力を上げるしかない。でも競争に勝つことが目的なら、相手が怠けてくれればいいわけです。受験生全体の○○%が合格する。このような競争をすると、全体の学力は上がりそうですが、現実的には下がり続けています。

全体の学力が上がろうが、下がろうが、合格数は変わらないから。
自分が努力するよりも、周りが努力しないようにする方が、楽だから。

そんな馬鹿な!と思っちゃいますよね。だけどこれと同じことを、大人たちもやっているわけです。

仕事や学問の原点は何か、をもういちど思い返すべき

新たな商品を考えたり、新たなマーケットを生み出すよりも、他社との競争に勝つ方が早い。他社商品や価格や売り方をチェックし、ちょっと改善して真似する。お互いがこんなことをやり続けていたらどうなるのか。

新たな価値を生み出す力は損なわれ、競争に勝つスキルだけが身についていく。気がつけばどこも儲からなくなっている。気がつけば全体の学力が下がっているのと、同じ構図だと思いませんか。

子供は大人の真似をしているだけなのです。受験の役に立たない勉強はせず、出題される問題だけを効率よく学習し、最低限の努力で志望校に合格する。それが最も賢いやり方なのだと、大人を見て学んでいるわけです。

好奇心を探求し続けること。
誰かの役に立とうとすること。
それが学問や仕事の原点のはずです。

売上、利益、点数、偏差値。それらが目的化してしまうと、社会全体は劣化し、閉塞感に覆われていくのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
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1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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