働き方

社員が潤うために社長ができることは、実はほぼ無い

投稿日:2022年8月22日 / by

<変人・安田の境目コラム>

会社の運営は、「経営者」の責任と采配で進めるものではあるのだが…

会社は給料を払う。社員は会社の指示命令に従う。会社と社員の関係はこうやって成り立ってきました。だけどもう無理みたいです。指示通りに動いてくれても、昔のようには儲からない。だから給料を増やすこともできない

自発的に自らスキルアップし、新たな仕事に取り組んでほしい。指示通りこなすだけで給料が増えるはずがない。これが経営者の本音です。

社員の給料を上げるために社長ができること
社員の気持ち真逆です。ずっと給料は増えない。まずは会社の利益だと言われる。自らスキルアップし、新たな仕事を作り出せと言われる。通常業務だけで手一杯だ。残業はするなと言われている。どうやって新たなことに取り組むのだ。その作業に対して給料は支払われるのか。経営者の言っていることはブラックだ。やりがい搾取ではないのか。言われた通りにやってきたのに、給料はまったく増えないではないか。

まさに水掛論。立場が変われば見え方も180度変わるのです。

会社が儲からなければ、社員の給料も上がるはずがない

会社が儲かれば社員も潤う。貢献度が高ければ報酬は増える。スキルアップは自分自身のため。

何ひとつ間違っていません。

問題はこのセリフを誰が言うか。

経営者がこれを言えば、ブラック企業と言われてしまう。やりがい搾取だと言われてしまう。今はそういう時代なのです。ではどうすればいいのか。社員が自分でそれに気づく。自らスキルアップしたくなる。新たな仕事にチャレンジしたくなる。夢のようなお話ですが、これ以外には方法がないのです。

経営者が先導して、うまくいける時代じゃなくなっている

ではどうやったら、それに気がついてくれるのか。研修ではダメです。なぜならそれは会社主体だから。スタート地点は社員でなくてはならない。

鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス。これしかありません。無理やり引き出そうとせず、成果の見えないチャレンジを否定せず、小さな第一歩をただ黙って見守る。応援する。我慢と忍耐経営者の仕事なのです。

※「経営者、つまり社長が会社の命運を動かす時代ではなくなっている」「では、どうすればよいのか」という安田氏のビジネス論をこちらの別コラムでご覧いただくことができます。よろしかったら併せてご覧ください。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
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1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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