働き方

客とスタッフ、双方を同時に満足させる唯一の経営術

投稿日:2022年9月19日 / by

<変人・安田の境目コラム>

客は丁寧な仕事を安く提供してほしい。スタッフは楽な仕事で高く稼ぎたい。という矛盾

働くスタッフを集めるのが採用。買ってくれるお客さんを集めるのが集客。どちらも同じ人集めです。だけどアピールポイントは180度違います。

たとえば顧客には、安くて手厚いサービスがアピールポイントとなります。しかしスタッフには、それはアピールポイントにはなりません。安くて手厚い仕事をすれば、損をするのは自分だからです。顧客は手厚いサービスを安く受けたい。スタッフは楽な仕事で高く稼ぎたい。利害関係が一致しないのです。

客とスタッフを同時に満足させる経営術
ではスタッフには何をアピールすればいいのか。高い給料、多くの休み、充実した福利厚生などでしょうか。
これを顧客の側から見るとどうなるか。休みが多く、給料が高く、福利厚生が充実した良い会社。そのサービスを受けようとすると、当然のことながら料金は高くなります。

どう考えても水と油。

しかしここを一致させる方法があるのです。それは顧客と商品の絞り込みです。

ポイントは「好きになってもらえるコト」。そこに、とことん絞り込む

通常、企業はたくさんの顧客を集めようとします。採用においても同じ。たくさんの応募者を集めようとする。ここに大きな問題があるのです。

多くの人を集めようとすると、多くの人に共通するメリットを打ち出す必要が出てきます。
顧客に対しては安さや手厚いサービス。スタッフに対しては高い給料や休みの多さ。ここに矛盾が生まれてしまうのです。

やるべきはこの真逆です。商品と顧客を徹底的に絞り込むのです。100人中98人は振り向きもしない。だけど残りのふたりにはドンピシャ。そういう絞り込みを行うのです。

決して安くない。まったく一般ウケしない。だけどそのこだわりが大好き。多少高くても買いたい。という顧客。
決して待遇が良いわけではない。福利厚生も普通。だけどその商品が大好き。好きなことを仕事にしたい。というスタッフ。

集客と採用が一致するポイント。ここがスモールビジネスの狙い目です。広げれば広げるほど遠くなり、絞り込めば絞り込むほど近くなる。それが顧客とスタッフの関係なのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
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1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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